新潟知事選勝利でも安倍政権の前途は多難だ

「総裁3選」までは、なおも高いハードルがある

この前日の5日の総務会でも財務省の調査結果に異論が噴出し、竹下亘総務会長も「ストンと(胸に)落ちる状況ではない」と批判した上、党内で改めて検証する必要性を指摘した。

米朝首脳会談を控えて、党内では首相サイドに「いつまでも森友・加計問題をやっているのか」(官邸筋)という声もあり、小泉氏が提起した特別委設置も「現状ではありえない」(参院幹部)と、党執行部は否定的だが、国民的人気を誇る小泉氏の発言を「正論だ」とひそかに評価する有力議員は少なくない。

雨中の国会周辺で抗議デモ、2分する国民の政権評価

そうした党内状況を横目に、首相は6日以降、日米首脳会談、先進国首脳会議(G7サミット)と海外出張による首脳外交に専念した。いずれも12日の米朝首脳会談への各国の対応が議題となった。

首相は9日夕(日本時間10日午前)、G7サミット閉幕を受けた記者会見で、米朝首脳会談への強い期待を示すとともに、拉致問題の解決に向けて「最終的にわが国が北朝鮮と直接協議していく決意だ」と述べ、日朝首脳会談の実現に意欲を強調した。首相は中国との関係改善についても意欲的で、年内の訪中と来年の習近平国家主席の訪日に向けて外交交渉を進める考えも表明した。

ただ、日朝首脳会談や首相訪中は総裁3選による続投が大前提で、「総裁選に出馬するかどうかは国会閉幕後に判断する」という従来の発言とは矛盾する。この点について首相サイドは「首相はもともと『3選は当たり前』との心境。秋以降の首脳外交の日程に言及するのも強烈な自信の表れだ」と解説する。たしかに、総裁選をめぐる党内情勢は「首相が圧倒的に優勢」(自民長老)との見方が多く、首相も国会閉幕直後に出馬表明して他候補をけん制する戦略とみられている。

こうした自民党内の空気とは対照的に、日曜日の10日午後には国会周辺で大規模なデモが実施された。「もり・かけ疑惑」などでの政府の対応への抗議活動で、降りしきる雨の中、主催者発表では2万7千人の一般市民らによる「官僚に責任を押しつけるな」「森友・加計疑惑の徹底解明を」などのシュプレヒコールが休日の国会議事堂にこだました。同日の「新潟決戦」が大接戦になったように、安倍政権への国民の評価も二分していることを裏付ける一幕だ。

そうした中、外交三昧だった首相は11日午後、帰国した。同日には日本列島は、梅雨のない北海道以外、すべての地域が梅雨入りした。気象庁関係者によると今年は梅雨明けも早く、暑い夏が続くとの予報だ。しかし、首相にとっての「政権の梅雨明け」は会期末国会の展開次第でまだまだ見通しが立たない。

さらに、国会閉幕後に本格化する予定の総裁選も、猛暑の中での消耗戦になる可能性が小さくない。このため「新潟知事選という関門を突破しても、まだまだ首相3選にはいばらの道が続く」(自民幹部)というのが実態かもしれない。

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