新幹線殺傷事件は、もはや「想定外」ではない 事件の4日前に訓練を行っていたのだが…

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JR東海は毎年テーマを設定して、訓練を実施している。テロ、自然災害、車両故障ーー。予告なしに襲う突然のトラブルを高速で走る新幹線はどう対処するか。新幹線開業以来半世紀にわたってさまざまな対策・訓練を講じており、それによってトラブル時の対応能力を高めてきたことは間違いない。

JR東海は毎年テーマを設定して大規模な訓練を実施している(撮影:尾形文繁)

しかし、それでも「想定外」のトラブルは起こりうる。新幹線鉄道事業本部運輸営業部の辻村厚部長は「たとえ想定外の事態が起きたとしても、乗客の安全が最優先という基本姿勢は変わらない」と断言する。

JR東海は確固たる手だてを講じるべき

列車運行に伴う、つまりJR東海に責任が生じるようなトラブルについては、「想定外」の事態が起きても乗務員の咄嗟の判断で乗客の安全が確保できるだけのノウハウが蓄積されつつある。しかし、意図的に引き起こされるテロ行為などの「想定外」を現状の対策でどこまで防ぎきれるか。

防犯カメラの設置といった受け身的な対策では防ぎきれないし、乗務員の対応に委ねるのも限界がある。各列車に専門的な訓練を受けた警備員を常駐させることが必要になるかもしれない。あるいはスムーズな乗車が損なわれることを覚悟のうえで、改札時の手荷物検査を導入する必要があるかもしれない。

もはやテロ行為は「想定外」の事態とはいえない。現実に繰り返されている危機を前に、JR東海は確固たる手だてを講じるべきだろう。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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