──上位目標?
集会時のあいさつでも、中川西中の教育理念は自立貢献ですね、との言葉から必ず始めた。生徒の皆さんが教育を受けているのは、大人になったときに自立するため。貢献も大それたものでなくて、自分がいるから家族が幸せとか、あるいは友だちに迷惑をかけないとかいったことも貢献に値し、貢献にはいろいろな形があると子どもたちに言ってきた。
不登校生徒をゼロに
──不登校生徒をゼロにしたそうですね。
ドイツ発祥のイエナプランの考え方を多様に取り入れた。ただ、イエナプランは中でも初等教育との親和性が高い。中学校全体で採用するものではないととらえ、異年齢学級や自分で時間割を決めるなどの形で取り入れた。
中川西中では、30人いた不登校が今年はゼロという形まで改善され、前任の市ヶ尾中でも、600人の学校で不登校が16〜17人いたものが、転任のときにはゼロになっていた。
──全国では不登校が13万人を超えるとの統計も。
きちんと居場所を作ってあげる。そこにピカイチの先生を置き、その子に合ったカリキュラムを用意すれば、必ず学校に来るようになる。毎日でなく、その子が体調や状況に合わせて、登校するかどうかを自分の主体性で決める。毎日来なければいけないという呪縛から解き放つことも大事だ。
毎日、決まった席に座って、ただ「授業劇場」を見てばかりでは登校をボイコットしたくなる。自分から登校日を選ばせると、週休4日の子も日を選んで来る。大人の思い込みを子どもに押し付けるのでは、不登校はなくならない。不登校は今の教育を子どもが嫌だと言っている表れだからだ。
2割の子はノーと言っていると思ったほうがいい。この子らには違うものを提供しなければならない。小中高の時代は人と人との距離を理解する時間だ。この試行時間に引きこもりになったら、今後どうやってソーシャルスキルを構築するのか。その子の人生を考えたらつらいものがある。
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