アルパインが「物言う株主」から狙われた必然 アルプス電気との経営統合に「待った」

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アルパイン側にも「アルプスの車載向け電子部品とアルパイン製品をセットで車メーカーに売り込める」(アルパイン社員)と統合に期待する声がある。もともとアルパインはアルプス電気と米モトローラとの合弁としてスタート、アルプス電気の完全子会社だった時代もある。

統合は来年1月を計画。アルパイン1株に対してアルプス0.68株を割り当てる株式交換を行い、事業持ち株会社アルプスアルパインを設立する予定だ。

オアシスは、この相思相愛ともいえる統合計画にかみついた。交換比率について、「アルパインが不当に低く評価されている」(セス・フィッシャー最高投資責任者)と主張したのだ。

「統合決定のプロセスがアンフェアだ」

主張の”根拠”を提供してしまったのはアルパイン側だ。2018年3月期は中国で欧米車向け受託製造のカーナビが想定以上に伸長。経営統合と交換比率を発表後に、2度も業績予想の上方修正を行い、最終的な純利益は当初の予想より約11倍増での着地となった。

統合発表前のアルプス電気とアルパインの株価を単純比較すると1対0.5程度。それがアルパインの業績上振れ修正もあって、現在は約0.8で推移している。アルパインは今年2月、「2度の業績上方修正があっても統合比率は合理的」との見解を公表している。だが、0.68株という統合における交換比率は、いまやマーケットで信頼を失っているといえる。

好調なアルパインの業績を受けてフィッシャー氏は「業績がよくなることを見越し、先に低い交換比率を決めて統合を発表したのはアンフェアだ」と統合決定のプロセスを批判。一方、アルパインは上振れを見越していたことは否定。統合発表のタイミングについては「独占禁止法の審査への対応と米国会計基準への書き換え対応、リーク対策」(IR担当者)の3点を理由に挙げた。

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