ゼロックス買収を阻む「物言う株主」の高い壁 富士フイルムが狙う実質ゼロ円買収の行方は

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1906年創業の米ゼロックスは米国の代表的な企業だが、ここ数年は業績不振にあえいでいた(写真:Xerox Corporation)

富士フイルムホールディングス(HD)による米ゼロックスの買収が暗礁に乗り上げている。

1月に発表した買収計画は特別配当や新株発行を使う複雑なスキームで、富士フイルムグループとしては現金の外部流出を伴わない。成長事業の医療分野などに現金を使いたいがゆえに生み出された手法だった。古森重隆会長が、「クリエーティブ」と評したのは記憶に新しい。

だが、合わせて15%のゼロックス株を持つ物言う株主が買収に反対。筆頭株主で著名投資家のカール・アイカーン氏と歩調を合わせる3位株主で実業家のダーウィン・ディーソン氏が訴訟を起こした。

迷走するゼロックス取締役会

4月27日、米ニューヨーク州上級裁判所は、ジェフ・ジェイコブソン・ゼロックスCEOが保身のために買収を進め、株主にとって不利益となる行動をしたとして買収の一時差し止めなどを命令した。

米ゼロックスのジェフ・ジェイコブソンCEO。統合後の新会社でも続投する(写真:Xerox Corporation)

命令から4日後の5月1日。ゼロックスは突然、アイカーン氏らと和解する。だが、その発表後、ゼロックスの株価が1割以上下落したこともあり、和解案はわずか2日で破棄された。現在はゼロックスと富士フイルムHDが、買収差し止めの撤回を求め裁判所に上訴している。

こうしたドタバタ劇の背景には、物言う株主の圧力に加え、ゼロックスの取締役会の姿勢が定まらないことにある。

そもそも、裁判所の決定文書によれば、2017年3月、ゼロックスの買収を望む富士フイルムHDに対し、ゼロックスの取締役会は妥当な水準のプレミアムをつけたうえで、現金による全株買収を条件として出していた。

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