働く人が増えた職業・減った職業ランキング 5年間の国勢調査で判明、最も増えた仕事は?

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分類不能の職業を除いて、実質的に最も就業者数が減ったのは、56位の製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)で、30.1万人減少した。

減少の原因として考えられるのは、日本経済が製造業などの第二次産業から、サービス業などの第三次産業にシフトする傾向が続いており、それにつれて、製品製造の職業の就業者数も減少していると思われる。また、工場の製造ラインの自動化やロボット化が進み、いままでより人手を必要としなくなっていることも考えられる。

55位は、商品販売従事者で28.9万人減少、54位は営業職業従事者で27.0万人減少している。販売と営業の2つの職業が大きく減っている原因として考えられるのは、インターネットを使った販売方法、いわる「eコマース(消費者向け電子商取引)」の拡大だ。

経済産業省の調査によると、国内の電子商取引の市場規模は、2010年の7788億円から、2015年には1兆3774億円と、5年間で1.8倍近く拡大している。eコマースが拡大する一方で、店頭などでの対面販売は減少、それにあわせて、営業や販売の人員が減少しているものと思われる。

AIとロボット化の波で事務職は余剰に?

以下、減少幅が多い順に、53位農業従事者(14.5万人減)、52位機械組立従事者(13.8万人減)、51位会計事務従事者(13.1万人減)となっている。

なお、減少率のトップは、43位の外勤事務従事者(5.1万人減)で、減少幅は33.5%減となっている。特に調査員の減少が大きく、8.2万人から3.7万人に減少した。

次回、2020年の国勢調査で、就業者数はどのような傾向になるのだろうか。少子高齢化はますます進んでおり、増加数で上位に入っていた医療系や介護系は引き続き増加を続けるだろう。

一方、減少数で上位となった製造業の従事者も、製造業の空洞化や工場の自動化の進展、中小の製造業の後継者不足などで、減少を続ける可能性が高い。営業や販売の職業も、eコマース市場が年5%前後の勢いで増加を続け、2017年には市場規模は1兆6505億円にまで達する。そうしたことを考えると、減少がさらに加速していくと想像できる。

ただし、増加数1位だった一般事務従事者も、2020年には減少に転じるかもしれない。なぜならオフィスの現場では、事務処理を自動化するAI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用が急速に普及しており、事務職の人余り状態が進んでいる。銀行などが事務職の削減の方針を打ち出しており、足元の有効求人倍率も、「一般事務の職業」が0.3倍前後と、1倍を大きく下回っている。

5年先も需要が高い職業を探すうえでは、テクノロジーの趨勢や社会の構造変化も見据える必要があるだろう。

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