名門ポルシェ「EVスポーツカー」に込める狙い 日本発売は2020年、最大航続距離500キロ超

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もっとも全世界の自動車市場でポルシェの販売シェアは0.3%にすぎない。だからこそポルシェが目指す「エクスクルーシブ性」(七五三木社長)が生きてくる。

ブランドロイヤルティは非常に高く、営業利益率は17.6%と抜群。七五三木社長は「競合他社のほぼ2倍の収益率。最も収益率の高いブランドだ」と強調する。新車だけでなく、クラシックカーとしての人気も高く、製造した車の70%以上が現存するのも他社にない特徴だ。

一番の課題は「エンジン音」

今年は初めてポルシェの名を冠した「356NO.1ロードスター」が1948年にグミュント(オーストリア)で誕生してから70周年を迎える。ファンを集めた70周年イベントを国内外で多数企画しており、一段とロイヤルティを高めていく方針だ。

ポルシェブランドが誕生して70年目を迎えたことから、70周年企画の一環としてポルシェ ジャパンは朝日新聞に世界最大級の折り込み広告を出稿した。その面積は約3.55平方メートルで、ギネス記録を達成した(記者撮影)

そんな中で発表した今回のミッションE。「911や『ボクスター』といった2シーターモデルを長年生産してきた工場の隣で新たにEV専用工場を建設中だ。まさに本社の中枢に近未来の新工場ができるということだ。これはポルシェの電動化に対するコミットを示している」と七五三木社長が話す通り、ポスト70年を見据えた新たな挑戦がミッションEだ。

とはいえ、クリアすべき課題も少なくない。「いろんな疑問や心配はあるが、一番はエンジン音をどうするかだと思う。ポルシェファンにどうアピールするかだ」と七五三木社長は悩む。充電設備も大容量の専用設備が必要になる可能性もあり、今後は関係先との調整も必要になるだろう。

ポルシェを代表する911はトヨタなど競合各社がベンチマークするなど、まさにスポーツカーの頂点を極めた。電動スポーツカーの分野でもその地位を不動のものにできるか。その試金石がミッションEであることは間違いない。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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