名門ポルシェ「EVスポーツカー」に込める狙い 日本発売は2020年、最大航続距離500キロ超

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

実際、これまで「カイエンSEハイブリッド」や「パナメーラSEハイブリッド」、919ハイブリッドなどで電動化に取り組んできた。現在はパナメーラの4モデルと、欧州ですでに発売が開始されているカイエンの1モデルを含めると、すでに5モデルの電動車を市場投入済みだ。これを2025年までに、全モデルラインナップのうち、50%をプラグインハイブリッド(PHV)と「ミッションE」などのEVとすることを目標に掲げている。

急速な電動シフトは顧客離れのリスクもあるが、足元では戦略が奏功している。欧州で2018年第1四半期に販売されたパナメーラのうち、PHVモデルは実に60%以上を占有。「パナメーラが属するセグメントでは大変特異な現象だ。退屈と誤解されがちなPHVモデルだが、相反する複数の要素を併せ持つというポルシェの哲学にかかれば、エコとパフォーマンスの2面性を持つ魅力的な機能として生まれ変わる」(七五三木社長)。

ポルシェの業績は絶好調

ポルシェは現在、独フォルクスワーゲン(VW)グループの一角を占める。VWグループは2018年にグループ再編を行い、「VW」や「シュコダ」などのボリュームゾーン、「アウディ」が属するプレミアムブランド、さらに最上位のスーパープレミアムブランドに分けて役割を明確化した。「ポルシェ」は「ランボルギーニ」などともに、スーパープレミアムブランドに位置づけられる。

ポルシェ ジャパンの七五三木敏幸社長(右)は「(ポルシェは)最も収益力の高いブランドだ」と強調する(記者撮影)

ポルシェの業績は絶好調で、まさにグループを支える存在だ。2017年は全世界で前期比4%増の24万6375台を販売。売上高は同5%増の235億ユーロ(約3兆円)、営業利益は同7%増の41億ユーロ(約5250億円)といずれも過去最高を更新した。ポルシェの日本事業も好調で、2017年の出荷台数は6923台に及び、2009年からの出荷台数は2倍以上に拡大している。

業績好調の大きな要因はスポーツカーというDNAを残しながらも、新たな顧客層拡大に動いたことが大きい。伝統的な2ドア2シーターのスポーツカーメーカーから脱却し、ここ最近は4人乗り4ドアセダンのパナメーラ、SUVのカイエン(2010年発売)、さらに一回り小さい「マカン」(2014年発売)など、これまで訴求できていなかった家族層に向けた車種を積極投入している。

オーナーの平均年齢は60歳と高齢化が進んでいたことが課題だったが、新型パナメーラの発売では新規顧客が半分を占め、平均年齢は10歳以上下がったという。カイエンの新型車も今後投入する方針で、人気のあるSUV市場でも存在感が高まっている。

次ページポルシェにとって一番の課題とは?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事