セルジオ越後、「危機の日本代表」をなで斬り 本当に強いチームになるために必要なこと
――どういった言葉でしょうか?
「選手やさまざまな方の意見は聞きました」と話したんです。「もちろん、それで決めているわけでもありません」とも言っていましたが、いろんな人たちに相談しているから、決断が遅れたんでしょう。
そもそも、こうしたことは口にする必要がありませんでした。自分には決断力がないと言っているようなものだし、責任逃れと取られてもおかしくない。それに、意見を聞くなら、その時点の技術委員長である西野(朗)さんだけで十分だから、西野さんの立場まで悪くしてしまった。
もっと言えば、解任の理由として「選手とのコミュニケーションや信頼関係がやや薄れてきた」なんて言う必要がないんです。理由は成績不振、それだけでいい。コミュニケーションや信頼関係が薄れたという理由は、ハリルホジッチの人格を否定することになりかねない。それが理由では、今後の彼へのオファーに影響があるかもしれない。ハリルホジッチが怒るのも当然でしょう。
監督は西野さんが適任だったのか
――後任は技術委員長を務めていた西野さんになりました。この人事については、どんな感想をお持ちですか?
ちょっと理解できないですね。本来なら、技術委員長のポストにあった西野さんは、ワールドカップ直前の監督交代という緊急事態を招いた張本人として、田嶋会長とともに責任を取らなくてはならない立場です。残された時間が少ないから、内部昇格という考えは理解できますが、それなら2016年のリオ五輪で代表監督を務めた手倉森(誠)コーチを昇格させるのが筋でしょう。手倉森コーチのことをそこまで信頼していなかったのか、そもそも初めから、どこかのタイミングで西野さんを代表監督に任命するために、技術委員長として呼んでいたのか。
西野監督は1996年のアトランタ五輪でブラジル代表を破った実績があるけれど、それは22年前のこと。ガンバ大阪でアジアを制したのだって10年前の話。ガンバのあと、ヴィッセル神戸、名古屋グランパスを率いたものの、さしたる成績を残せずに現場から離れ、技術委員長の座に収まっていた。そんな人をなぜ、監督に指名したのでしょうか。
――5月18日にまず、27人の候補選手が選ばれました。ガーナとのテストマッチを行ったのち、翌日31日に本大会に臨む23人を決めるわけですが、27人の顔ぶれについてはどんな印象を持ちましたか?
青山敏弘(サンフレッチェ広島)の選出は予想外でしたが(※その後、負傷のために離脱)、それ以外はほとんど予想通りでした。残された時間は少ないので、新しいメンバーを呼んだところで試している時間はない。試すというのはピッチ上のパフォーマンスや連係だけではありません。グループの中でどのように振る舞うのか、性格はオープンなのか、チームにすぐ馴染めるタイプなのか……。新しい選手は、その辺りのことが分からない。
特にワールドカップの合宿は長丁場ですから、たとえ試合に出られなくてもチームに貢献できるかどうか、その見極めも大事です。そう考えると、ハリルホジッチ時代のラージメンバーの中から選出されたのは予想どおりです。彼らのことは西野監督も、技術委員長としてチェックしてきたわけですから。
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