習近平のマルクス礼賛はお門違いも甚だしい

マルクス主義を捨て経済発展した中国

マルクス主義を標ぼうする中国の習近平国家主席(写真:Wolfgang Rattay/ロイター)

生誕200年をきっかけにマルクスに関心が集まっている。出身地の独トリーア市にはマルクス像が設置され、中国の祝賀式典では「抑圧や搾取のない理想社会への道筋を示した」と、習近平国家主席がマルクスを称賛した。

マルクス主義を標榜する中国の式典で、習氏に反論できる出席者など、誰一人としていなかっただろう。だが、そのような制約のないドイツの祝賀行事で、欧州委員会のユンケル委員長はマルクスを擁護する発言をした。「自身が意図しなかったことに対して責任を負わされている」というのだ。

マルクスの影響が今も生き残っているのは

だが、そもそも膨大な数の人々を不幸に追いやってきたのがマルクス主義ではなかったのか。20世紀の大半を通じて、人類のざっと4割がマルクス信奉者の手で飢餓、強制労働、情報統制など数々の抑圧に苦しめられてきた。

ユンケル氏は、よくある反論を持ち出して、共産政治による残虐行為はマルクス思想が歪曲されたせいだ、と言おうとしたのだろう。確かに、マルクスが生涯をささげて研究したのは工業化の進む19世紀西欧の政治経済だ。ただ、マルクスの影響が今も生き残っているのは、その未来構想によるところが大きく、この点は無視できない。

19世紀半ばに資本主義社会が勃興するのを目の当たりにしたマルクスは、私有財産制を諸悪の根源と見なした。そして、私有財産制をなくすことでしか、社会階級による貧富の差はなくならず、理想的な世の中は訪れないと考えた。しかも、こうした主張を単なる考察ではなく、科学理論として打ち出したのがマルクスだったのだ。

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