ソニーが「音楽著作権」に大金をつぎ込む理由 吉田新社長肝いりのビジネスモデルの全容

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日本ではハードウエアメーカーの印象が強いソニーだが、米国には売上高で世界首位の音楽出版社を抱えている。音楽出版社の儲けの源泉は、楽曲制作者から著作権の管理委託を受けたうえで、音楽の使用者への使用許諾と引き換えに受け取る著作権使用料だ。

ビートルズやボン・ジョヴィといった世界的なロックバンドから、テイラー・スウィフトやエド・シーランといった今をときめくアーティストまで――。ソニーグループが管理する楽曲の権利は230万曲を超え、米国の音楽市場で2割以上のシェアを握る。

そして今回子会社化したEMIは、クイーンやキャロル・キング、サム・スミス、アリシア・キーズといった大物アーティストをはじめとして、著作権200万曲以上を持つ。王座をさらに盤石なものにしたわけだ。

音楽著作権はなぜおいしいのか

すでにソニー傘下の投資会社がEMI株式の4割を保有していたが、アラブ首長国連邦の政府系ファンドから19億ドル(約2100億円)で追加取得。関連費用も含めれば23億ドルを投じることとなり、1988年の映画事業買収(48億ドル)に次ぐ巨額買収となる。ソニーが音楽著作権での存在感を高める目的はいったい何なのか。

その答えは、現在世界中で拡大している「スポティファイ」や「アップルミュージック」といった定額の音楽ストリーミング配信サービスだ。特に、ソニー音楽事業の主力市場である米国での躍進は目覚ましく、2017年には音楽市場の65%がストリーミング配信による収益となった。

ストリーミング配信市場の拡大は、音楽出版社には大きな追い風となる。たとえば、クイーンの「伝説のチャンピオン(We Are the Champions)」がスマートフォンのアプリなどで再生されるたびに、著作権を持つソニー側に対し自動的に著作権使用料が支払われる仕組みだからだ。

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