相鉄「二俣川駅再開発」で得するのは誰なのか 「運転免許試験場の街」が大きく変わる

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これまで相鉄は横浜という大ターミナルの吸引力と住宅の郊外指向により沿線を発展させてきた。しかし、東京一極集中の傾向が強まり、「沿線間競争」が叫ばれるいま、横浜にターミナルを持つ相鉄は山手線沿線にターミナルを持つほかの大手私鉄に比べて不利な状況となっている。そこで大胆な都心直結プロジェクトを行っているというわけだ。

東急線直通用に設計された新型車両20000系。ネイビーブルーの塗装が目立つ(筆者撮影)

その準備のために、車両の面ではJR直通用の12000系の投入が先日発表された設備投資計画で明記されたほか、2015年から始まったデザインブランドアッププロジェクト(2019年までを予定)で駅の設備更新やネイビーブルーを基調とした車両更新を引き続き進められていくこともあわせて発表された。

開発ではいずみ野線沿線で「いずみ野線沿線リノベーション計画」として駅前再整備やエリアマネジメントを行うほか、現在行っている星川・天王町付近連続立体交差化工事によって生まれる高架下空間の活用、いずみ野線のゆめが丘駅周辺の区画整理によるまちづくりを計画しており、全体的に堅実なまちづくりとなっている。

沿線間競争にどう影響するか

このように相鉄は大胆な輸送プロジェクトを展開しながらも、まちづくりや沿線の雰囲気作りでは不安要素をうまく埋めつつ、手堅いまちづくりを展開している。これは戦後の横浜駅西口の用地調達という大胆な施策から、挑戦的かつ需要を考慮した手堅いまちづくりを沿線で行うことで大きく会社を成長させた相鉄のDNAを感じることができる。

南口から見たジョイナステラス1。突き出している上のフロアはオフィスが入居する(筆者撮影)

そういう観点から今回のジョイナステラス二俣川開業を見ると、商業的に空白だったエリアでニーズの高い商業施設をつくるという堅実なモノで、とても「相鉄らしい」開発といえそうだ。

今後、東京都心一極集中と不利な状況下で「相鉄らしい」まちづくりをすることで、沿線間競争でどういったポジションにつけられるのか。今後も相鉄の都心直通プロジェクトに関する取り組みが注目される。

鳴海 侑 まち探訪家

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なるみ ゆう / Yu Narumi

1990年、神奈川県生まれ。大学卒業後は交通事業者やコンサルタントの勤務等を経て現職。「特徴のないまちはない」をモットーに、全国各地の「まち」を巡る。これまで全国650以上の市町村を訪問済み。「まち」をキーワードに、ライティングをはじめとしたさまざまな活動を行っている。最新の活動についてはホームページ(https://www.naru.me/)やX(旧・Twitter、https://twitter.com/mistp0uffer)で配信中。

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