安倍首相「自民総裁3選」へ吹き始めた追い風 内閣支持率が反転の兆し

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ある政府・与党関係者は「支持率は底を打った」とほっとした表情。今年3月以降、4割台だった支持率が3割台に急落していたが、5月調査では少なくとも下げ止まりが明確になったと受け止めている。

公明党の山口那津男代表は21日、記者団に対して「不支持率の方が(支持率より)高い状況もあり、ぜい弱な支持率という点も、よく受け止めなければならない」とし、楽観的な見方を戒めた。

ただ、与党内の一角では、現状の支持率は「歴史的には高い方」(幹部)という見方も出ている。支持率が3割を切ると「危険水域」とされるが、30%台から40%台への上昇は「最悪の状況を脱したのではないか」(与党関係者)と、先行きに光明を見出す見方につながっている。

首相官邸や与党幹部の一部は、6月20日の通常国会会期末までに重要法案である働き方改革法案を成立させることができれば、安倍内閣が責任を果たしたことになり、9月の自民党総裁選で安倍首相が3選を果たすうえで有利な政治情勢に持ち込めると「皮算用」する。

広がり始めた強硬論

実際、今回の読売新聞の世論調査では、森友・加計問題を国会が優先して議論すべきとの声は、読売新聞調査では40%にとどまり、森友・加計問題を優先して議論すべきとは思わないとの回答は52%と過半数を超えた。

こうした世論の動向を意識してか、与党内には、野党の反対を押し切って23日に働き方改革法案を衆院で採決、可決して参院に送るべきだとの強硬論が広がっている。

ただ、衆院段階で「強行採決」した場合、参院での審議がストップし、結果として同法案の成立が危ぶまれる事態になることを懸念する声もある。

与党内にも、支持率の反転を機に強行採決すれば、政府・与党に対する世論の目が厳しくなりはしないかと懸念する見方もくすぶっている。

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