文春の編集者が「料理サロン」を作ったワケ 「日本ガストロノミー協会」の狙いとは?

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現在の会の主な活動は、千代田区に年間を通して借りているキッチンスタジオ「あさか倶楽部」を拠点とした料理イベントだ。柏原氏がキッチンで料理を作り、一緒に作りたい人、飲みたい人が集まる、月2回ほぼ定期的に行っている「柏原います」という会や、レストランシェフ、生産者、若手料理人を招いての特別イベントを行っている。定例会はこれまでに5回、特別イベントは、2月4日に開催されたお披露目パーティを含め、17回開催している。

なお、あさか倶楽部は「番町文人通り」に面するマンションの1階に位置する。島崎藤村、藤田嗣治、泉鏡花など、さまざまな文化人、知識人が居住した歴史がある通り。文化人が多く名を連ねる日本版「美食倶楽部」の立地としてピッタリといえるかもしれない。

フェイスブックで参加者を募る

イベントは、SNSで参加者を募るオープンなイベントで、参加を申し込み、会費を当日払えば参加できる。会費は定例会に関しては3000円、特別イベントはその都度異なるそうだ。

それぞれが自由にツマミを作っていく(編集部撮影)

サンセバスチャンの美食倶楽部と違い、日本のガストロノミー協会は女性もウエルカム。だが常連として顔を出すのはやはり男性が多いという。

「スタートアップメンバーは私を含め40〜50代のおじさん。なので最初は男性が多かったですが、最近は半々ぐらいになりまして、『料理が好きなんだけど、若い人と一緒に料理教室に通うのは恥ずかしい』とか、『子どもが独立して、なかなか作る機会がなくなった』という理由をよく聞きます」(柏原氏)

そう話す柏原氏も立派に家事としての料理をこなす料理男子。中学生の娘のために毎日弁当を手作りしている。弁当作りは子どもが幼稚園の頃にさかのぼるという。ちなみに柏原氏の得意料理は「麻婆豆腐」。中華料理レストランの社長から直伝されたメニューだ。サロンである「あさか倶楽部」に集う人には飲食業界の人も多く、彼らからレシピやコツを教えてもらえる貴重な機会でもある。

家庭ではなかなか料理をする機会がないという男性はこの日、キッチンに立ちっぱなしだった(編集部撮影)

今回は会の活動のうち、月曜日の午後7時から開催される定例会にお邪魔させてもらった。通常は5〜6人のこじんまりした会だそうだが、この日はなぜか10人以上が参加。初めて参加したという人も多い。柏原氏の発声によりイベント開始となるが、多くの人は開始前からすでに料理に取りかかっている。おしゃべりしながら飲んでいるだけの人もいれば、黙々とまな板や鍋に集中する姿もある。肉の薄切りを鍋に投入している男性もいる。

「料理はいっぺんにさまざまな手順をこなさなければならないし、かなり頭を使う。100%料理に集中することで、ストレスの発散にもなる」のが料理の魅力だという。

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