最低賃金は「全国一律1000円」にするべきだ 地域別の最低賃金は世界の常識ではない
さらに言うならば、最低賃金の水準についても指摘したい。現在の最低賃金は、フルタイムで働いても月額14万円程度(全国の加重平均848円×8時間×21日)であり、社会保険料等を差し引いた手取額は約12万円程度でしかない。
生活保護基準(単身者の生活扶助と住宅扶助)は約10万円で、医療扶助が別途支給され公共料金が免除されるケースもある。最低賃金と大きく違わず、家族がいれば逆転してしまう。この水準ではいわゆるワーキングプアや1人親世帯が子育てをしていくには不十分であり、非正規社員が雇用者の4割を超える現状からして、人口減・少子化問題に対するマイナス要因になっている。
全国一律にしたうえで1000円を目指すべき
政府は目下、最低賃金を1000円に引き上げようとしており、全国一律にしたうえで達成を目指すべきである。
これに対し、最低賃金を引き上げれば求人が減り雇用が失われるとの見方があるが、地方は深刻な人手不足であり実態は異なる。どの地方でも、労働人口の減少・不足に対応するため、たとえば、女性・高齢者の労働参加をどう高めていくかなど、人材の確保に向けて企業・行政の別なく知恵を絞っている。
企業は、今までよりも高い賃金を支払わねば人材確保もままならず、最低賃金自体は、各地域の労働需給の指標である有効求人倍率や失業率ともほとんど相関を示していない。最低賃金を全国一律にしても、地方の雇用に影響するとは考えにくい。
最低賃金と企業経営の関係については、現状では労働配分率は伸びていないのだから、むしろ賃金を含めた物価上昇に結び付かないことのほうが問題ではなかろうか。
最低賃金の水準と雇用の関係では、企業が賃金を支払えるよう稼ぐ力を高めることに力点を置くことではなかろうか。そして国においても、世界と比べて低いと言われる日本企業の生産性を高める政策を、たとえば5年後の実現を目標とするなどして強力に実行すべきである。
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