カルビー、ついに迎えた「フルグラ」の踊り場 ポテチショック、松本会長退任の次の正念場

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こうした小売店では年に数回、商品が割引になるクーポンを配布したり、大規模な陳列を行ったりするなど消費者にアピールする施策を行うが、そうしたキャンペーンを打てなかったことが響いた。北米でのスナック菓子の売り上げのうち半分はそうしたキャンペーンに依存していたという。

こうした販売不振による工場稼働減や廃棄増により、採算が急激に悪化。2018年3月期の北米事業は、営業赤字7.0億円(前期は15億円の黒字)と赤字に沈んだ。今期は、北米事業の営業トップを変更するなど体制を大幅に刷新。本社からも人員を送り込むなどテコ入れを図る計画だ。

今期は反転増で、過去最高の見通し

カルビーが11日に開示した今2019年3月期の業績見通しは、売上高2550億円(前期比1.4%増)、営業利益295億円(同10%増)。業績は復調し、いずれも過去最高を更新する計画を立てる。

立て直しが進みつつある、国内と北米のスナック菓子事業に対し、今期の業績動向のカギを握るのは、収益柱に育ちつつあるシリアルの「フルグラ」事業だ。

フルグラは1991年、「フルーツグラノーラ」として販売を開始。長く雌伏の時期が続いたが、2009年に松本会長が「朝食革命」を標榜し、若い共働き世代の時短につながる朝食としてテコ入れを図ると、販売は急激に増大。2008年に22億円だった売上高は、2017年3月期には国内・海外合わせて291億円まで拡大した。

だが、そのフルグラが踊り場を迎えている。国内の売上高は2018年3月期に231億円(前期比0.6%増)とほぼ横ばいに減速。フルグラが牽引してきたシリアル市場そのものも450億円ほどでの頭打ちが鮮明になっている。

松本会長は「市場自体の低迷は、カルビーが市場を広げるための正しいアクションを起こさなかったことに責任がある。ターゲットにする消費者が誰なのかわからなくなっていた」と吐露する。今後は50歳以上の男女をターゲットに、販売強化を進める方針だ。

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