『遠距離介護』が働き盛りを襲う! 仕事との両立に悩む人が急増

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利用価値の高い飛行機の割引制度

介護といえば、食事や入浴補助など身の回りの世話をすることだと思いがちだが、必要な情報を収集、整理して家族をサポートするのも立派な介護。すべての自治体に設置されている「社会福祉協議会」に行けば、ボランティアによる家事援助サービスや配食サービスの実施についての情報を得ることができる。

また、遠距離介護の不安を軽減できる民間の商品、サービスも存在する。無線通信機を内蔵した象印マホービン『iポット』は、ポットを使うとその情報がインターネットを通じて、離れて暮らす家族の携帯電話やパソコンに送られる。お茶を飲む時間や回数はほぼ毎日同じなため、離れて暮らす親の体調の変化を知ることができる。

NTTテレコン『あんしんテレちゃん』はガス使用量が通知されるサービス。これも同様に親の生活状況を確認することができる。ニチレイフーズでは電子レンジで温めるだけの冷凍惣菜セットの宅配サービスがある。キユーピーは食材の硬さ、大きさに配慮した介護食を販売。エックスヴィンの『宅配クック123』は自宅に毎日、昼食と夕食を届けるサービス。配達員が毎日訪問することが安否確認になる。

親が暮らす地域でどんなサービスを受けることができるか、介護が必要となる前に情報収集しておく。そうすれば、いざというときでも、状況に応じてサービスを選択し、組み合わせることで問題を切り抜けることができるかもしれない。

 遠距離介護を選択した場合、最も負担になってくるのが交通費だが、ここでも航空会社4社に「介護帰省割引」があるのを知っているか知らないかで、介護の負担は大きく違ってくる。

他社に先駆けいち早く設定したJALの「介護帰省パス」の累積発行枚数は8万枚。「05年ごろからここ2~3年、2ケタ増の伸び」(日本航空)。国内線航空会社4社が導入している介護帰省割引の利用者合計は、9万5000人に上る。

JALは親が要介護、要支援の場合、ANAは要介護だけだが正規料金から2~3割超の割引が受けられる。スカイネットアジアやスターフライヤーも介護帰省割引を導入済みだ。介護での帰省は急を要するケースも多い。盆や正月を含め、何カ月も前に購入しなくとも割引が受けられ、変更も可能な介護割引は、通常の割引とはまったく別物。特に、時間の都合をつけにくい会社員にとって利用価値が高い。

自分の身内の面倒を見るとはいえ、介護は「情」だけで乗り切れるものではない。長期にわたることもある介護では、自らの負担を少しでも減らせるよう、情報を集めたり、ネットワークをつくるなど計画的に行動することが必要だ。

「誰も彼もが満足な“いい介護”はない。できないことはたくさんある。“ベストの介護”ではなく“ベターの介護”をするといい。何でも完璧を目指すのではなく、使えるものは活用し、頼れるものにはしっかりと頼る」

これが、多くの介護者を見てきた、太田さんからのアドバイスである。


(週刊東洋経済)
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