男性の育休取得を阻み続けている「3つの壁」 意識の壁、雰囲気の壁、そしてもう1つは…
これに加え、男女が順次に育休をとった場合、2番目に育休をとる親を支援する制度もあり、最初の3カ月で賃金の100%(上限額あり)に相当する給付金が支給される。
この制度が2014年に導入されると、約10年間大きな変化が見られなかった男性の育休取得率が少しずつ改善した。制度導入前の2013年は3.3%だったにもかかわらず、2016年には8.5%まで伸びている。
「韓国式」により夫が育休をしっかり取得して「ワンオペ育児」を体験すれば、夫に育児の当事者意識が生まれ、妻に任せきりだった家事・育児が自分事になるかもしれない。
あくまで希望的な観測になるが、男性が仕事を早く切り上げて帰宅したり、復職後に育児と両立している女性に理解を示したりする可能性もあるのではないか。
「育児休業」という呼称だと「休暇」と思われる
育休取得を阻む「3つの壁」を乗り越えるためには、政府の努力だけでなく、男性たちの協力が欠かせない。その際、男性を取り巻く環境も変えていく必要があるだろう。そこで提案したいのが、「育児休業」という呼び方をやめることだ。
事実、「休業のことを『休暇』だと周囲に思われている」「名称が育休を取りにくくさせている」といった男性たちの声を筆者もよく耳にしてきた。
男性が育休後に職場復帰すると「休みは楽しかった?」などと言われるなど、育休とは無縁の人には「育休=バケーション」と思われているようなのである。それに、いまだに「育児休業」ではなく「育児休暇」という呼ぶ会社すらある。
こうした誤解もしくは誤認をなくすため、「育児休業」を「育児専念期間」と呼ぶことにしてはどうか。野田聖子総務相を会長に設立されたばかりの「超党派ママパパ議員連盟」にも、機会を見てこれを提案したいと、筆者は考えている。
些細なことかもしれないが、こうした取り組みが「3つの壁」を乗り越えるための小さな一歩となるかもしれない。その小さな一歩の積み重ねが実を結べば、少子化に歯止めをかけるトリガーになっていくだろう。
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