低所得者の賃金を改善させた英国式「トランポリン型福祉」

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98年から06年にかけて約149万人の若年失業者がこのプログラムに参加し、延べ60万人が通常の就職を果たしている。センターを訪れない若年失業者は失業給付が停止になってしまう点が、参加者数を高めた要因の一つになっている。

職業訓練と失業給付をセットにしている点は、オランダやデンマークのフレキシキュリティとも重なる。失業者対策で、イギリスが日本と大きく異なる点は、非保険料拠出の「所得調査制求職者手当」の存在だ。たとえば若年者には週46・85ポンド(約8000円)が支払われる。非保険料拠出という点では日本にも生活保護があるが補足率(生活保護水準以下の世帯のうち実際に保護を受けている率)は2割程度。結局日本の若年失業者は生活を家族(親)に依存しなければならないのが実情だ。


イギリスのトランポリン型の福祉は一定の評価を得ている。これまでの好景気が追い風だった面はあるが、就業率は97年70・6%から06年72・5%へと向上。下図のように低所得者の実質所得の伸び率は高所得者を上回り、貧困率はブレア政権期間中に確実に低下した。

一方日本は、社会保障が貧弱なうえ、失業給付も職業能力開発とバラバラに行われている。政策のコーディネートを構築する必要がある。


(週刊東洋経済)

photo:©StudioEddies.com

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