フェイスブックの「出会い系」は何が違うのか 「デート機能」で目指すものとは?

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この機能が発表され、ティンダーを運営するマッチグループの株価は急落している。しかし、インスタントな出会いを演出してきたティンダーと、より深いパートナーを探す機能と味つけられたフェイスブック・デーティングは、用途が異なるようにも感じられる。前述の通り、通常のフェイスブックプロフィールやメッセンジャーと隔離された空間を作り出しており、出会いを求めての活動をこれまでの友人とのやりとりと切り離せる点がポイントだ。

基調講演でマーク・ザッカーバーグ氏は、本体のアプリ、インスタグラム、ワッツアップ、メッセンジャー、そしてVRという5つの分野を核に、新しい機能や取り組みを紹介した。それぞれの分野については、テーマカラーを設定したうえで、各アプリの個性が際立つように演出されており、異なるターゲットに向けて、その分野でトップを取るべく取り組みを強化しているような印象を受ける。

フェイスブックのプライバシー問題が持ち上がった際、米国でも6割の人が「インスタグラムがフェイスブック傘下であることを知らない」という調査結果が紹介された。それぐらい、各アプリが狙っているセグメントが分かれており、ターゲット外のアプリに興味を持っていないことがわかる。

フェイスブックが持ち出した技術

その一方で、今回フェイスブックが持ち出した技術は共通していた。コアとなる広告技術については言及されなかったが、そのほかにも人工知能、拡張現実、仮想現実、ビデオチャット、ストーリーズなどの技術、機能、デザインが各プラットホームで異なる意味合いで活用されていく様子を見ることができた。

たとえば、グループビデオチャットはすでにフェイスブック・メッセンジャーに搭載されているが、今回の発表でインスタグラムとワッツアップに新たに搭載されることがアナウンスされた。一方でインスタグラムに採用された白を基調としたクリーンなデザインは、今度はメッセンジャーアプリのリデザインに採用される。

拡張現実機能はフェイスブックのメインアプリのカメラに採用されてきたが、これがメッセンジャーやインスタグラムに搭載される。メッセンジャーではビジネスユーザーが顧客とのコミュニケーションで独自の商品の見せ方をARで実現する用途に使われ、インスタグラムでは自分や友人の顔の装飾がその目的となる。

このように、技術基盤の開発の加速と、各製品への適用をうまくコントロールしている様子は、フェイスブックの組織的な強みを垣間見ることになった。

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