繊維の老舗、利益5倍の陰に地道な構造改革 小松精練、3年で株価2倍・利益5倍のなぜ?

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消費地別では3割強が海外向けで、このうち4割が欧州、3割が中東向け。欧州向けは高級婦人服やスポーツ衣料向けが中心だが、中東向けが3割も占めるのは、現地の男性が着用する民族衣装「カンドゥーラ」に使う生地「トーブ」用で、日本製の生地が高い評価を得ているからだ。

リーマンショック後に落ち込んだ業績は徐々に回復。2012年3月期には営業利益は19億円まで回復するも、その後は好採算品の売上構成比が後退したことに加え、染料原料をはじめとする原材料の高騰で利益水準が急低下した。

2014年3月期には1%を割っていた営業利益率は2017年3月期に4.0%まで回復。2018年3月期の直近会社予想は5.2%に達している。営業利益は3年間で5倍増、株価もすでに利益の回復を織り込み、3年間で2倍になった。

利益改善のキモは生産性向上

利益を押し上げた要因は何だったのか。売上高はほぼ横ばいにとどまっており、利益回復は、収益性の改善によってもたらされている。実際、売上総利益率は2015年3月期実績の18.6%から2017年3月期実績では21.3%へと2.7ポイントも上昇。一方、販管費率はほぼ同水準。2018年3月期の販管費率は第3四半期までの累計実績で15.8%。これは前年同期時点よりも1.2ポイント低い。

メディアへの露出は最先端素材や炭素繊維を使った建築材料などが目立つが、染料原料が高止まりし、燃料費も上昇傾向にある中、利益率を押し上げているのは構造改革効果だ。

同社は2015年以降、設備の動線の見直し、省エネ効果や生産性を高める設備投資、加工方法の工夫といった、地道な生産効率の改善努力を続けてきた。実際、2017年3月期は営業利益が前期比で5億8200万円改善しているが、このうち4億円が構造改革効果だった。

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