米4月雇用統計16.4万人増、市場予想を下回る 失業率は3.9%、17年半ぶりの低水準に
[ワシントン 4日 ロイター] - 米労働省が4日発表した4月の雇用統計は、景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数が前月比16万4000人増と、市場予想の19万2000人増を下回った。
失業率は、労働参加率が低下する中で17年半ぶりの低水準となる3.9%まで低下した。
3月の就業者数は当初発表の10万3000人増から13万5000人増へ上方改定された。依然として6カ月ぶりの小幅な伸びだ。2月は32万4000人増と、異例な伸びとなっていた。
3月から4月にかけて例年より気温が低かったことが伸びの鈍化の背景にある可能性もあるが、労働市場が完全雇用状態となる中、雇用の伸びはペースを落としている。雇用主からは適切な人材が見つからないとの声も上がっている。建設や製造業で顕著な現象だ。
失業率は3月の4.1%から0.2%ポイント低下の3.9%となり、2000年12月以来の低水準を付けた。市場予想は4.0%だった。米連邦準備理事会(FRB)は年末までに失業率が3.8%に低下するとみており、その水準に迫っている。失業率の低下は6カ月ぶりだった。
求職者を含む働き手の割合を示す労働参加率は62.8%と、3月の62.9%から低下した。23万6000人の労働人口が減ったことを反映する。
職探しを諦めた人や正社員を希望しながらパートタイムで就業している人などを加えたより広義の失業率は7.8%と、前月の8.0%から低下し、01年7月以来の低水準を付けた。
1時間当たりの平均賃金は前月から4セント(0.1%)増え、緩慢な伸びにとどまった。3月は0.2%増加していた。4月の前年同月比は2.6%増だった。平均週労働時間は横ばいの34.5時間だった。
平均賃金は、物価の伸びが緩慢であることを示唆するが、他の指標はより底堅い。前週に公表された第1・四半期の雇用コスト指数(ECI)は力強く伸びた。同統計では賃金・給与が11年ぶりの大幅な伸びとなった。エコノミストらは、ECIを労働市場のスラック(需給の緩み)を測るより良い指標の一つと位置づけている。
雇用統計では平均賃金の前年比の伸びが依然として緩やかだが、FRBが物価の目安とするコア個人消費支出(PCE)価格指数は3月に前年同月比1.9%上昇した。2月は1.6%上昇だった。
FRBは2日、政策金利を据え置き、物価は中期的に「対称的な」目標の2%に近づくとの見通しを示した。エコノミストらは、「対称的」の文言を、FRBが物価が目標を超えることをそれほど心配しないと捉えた。FRBは3月に金利を引き上げ、年内にあと2回利上げする見通しを示している。
エコノミストらは失業率が年末までに3.5%まで低下するとみている。米経済は、労働力人口の伸びについていくために月々約12万人雇用を増やす必要がある。
エバーバンクのワールド・マーケッツ部門プレジデントのクリス・ガフニー氏は今回の雇用統計について「FRBの軌道を変えるものではなく、6月に利上げが実施される」と指摘。「米経済は健全だが、過熱はしていない。賃金動向にも動きは見られず、FRBが利上げペースを加速化させるために必要な賃金圧力も出ていない」と述べた。
シュワブセンター・フォー・ファイナンシャルリサーチの債券ストラテジスト、コリン・マーティン氏は「FRBが利上げペースを加速化させるとの懸念が出ていたとすれば、今回の雇用統計でこうした懸念は緩和する」と指摘。ステートストリート・グローバルアドバイザーズの首席投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏も「FRBの軌道を変えるものではなかった」とし、「FRBは今後も賃金がなぜ上昇しないのか答えを模索し続けるとみられる」と述べた。
雇用統計の部門別の内訳は、建設業が1万7000人増。3月は8カ月ぶりに落ち込んでいた。製造業は2万4000人増。3月は2万2000人増加していた。小売業は1800人増。長期雇用の前段階とみなされている一時雇用は1万0300人増加した。3月は2100人減っていた。娯楽・観光は1万8000人増。政府部門は4000人減った。
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