核実験凍結声明ににじむ北朝鮮の「真意」 重大問題については触れていない

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総会で行われた主な発表は以下のとおりだ。

●北朝鮮は現有の核戦力に満足しており、これ以上の核実験や核開発の必要性は感じていない。
●「北部」にある核実験場を廃棄する(北朝鮮ニュース注:豊渓里=プンゲリの核実験場と見られる)。
●核実験および大陸間弾道ミサイル(射程距離5500キロメートル超のICBM)の発射実験を中止する。
●中距離弾道ミサイル(射程距離3000〜5500キロメートルのIRBM)の発射実験を中止する可能性がある(北朝鮮ニュース注:この発表は国営の朝鮮中央通信によって伝えられたものの、総会で採択された決定書には記載がない。この違いが何を意味しているのかは不明だ)。
●「並進路線」は核戦力と経済の同時開発で成果をあげている。

レーガンもオバマも似たようなことをやった

加えて、核なき世界に向けた朝鮮労働党の取り組みについて簡単な声明が出されたが、これは非核化を約束するものとして、過大解釈される恐れがある。

同様の声明を行った国家元首は、米国のロナルド・レーガン元大統領、バラク・オバマ前大統領、中国の習近平国家主席など、これまでに何人も存在する。核なき世界を希求する声明は高らかに理想をうたいあげるものではあっても、本物の決意が伴うことは、まずない。

「北部の核実験場」の解体が決定書に盛り込まれた理由ははっきりしない。この表現は単にプンゲリ核実験場と米国が呼んでいるものを指しているだけなのか。それとも閉鎖されない第2の核実験場がほかに存在することを示唆するものなのか。その点は明らかになっていない。

「他国から核の威嚇や挑発がない限り」、北朝鮮は核兵器の使用や第三国への移転を行わないとの声明も出されたが、これが本質的には非核化を意味しない点には注意が必要だろう。

北朝鮮が現在持っている核戦力に満足しており、この辺で手を打とうか、と言っているだけにすぎないからだ。ここで使われている言葉は、非核化ではなく、北朝鮮にとって核戦力が中心的な国家資産となった状況を示すために、意図的に用いられた表現のように見える。

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