中国人の「爆買い」と「トイレ革命」の深い関係 共通する「外」「内」意識の存在とは何なのか

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その結果、特に所得が高く、海外のこともわかる都市部の中流以上の人は、自然に消費の目線を海外に向けるようになる。日本のメーカーに対する好印象は、1980年代から始まり、品質が良い、使い勝手がよいという認識が強い。

何より日本は先進国であり、細かいところにこだわる国であり、消費者を騙すことはまずなく、特に安心・安全を何より重視しているというイメージが浸透している。つまり、日本人も使っているアイテムであれば、まず「信頼」できると思うようになるのだ。

中国国内では商品の品質は中国人に「外」の感覚で取られてあまり信用されないが、本当の「外」である日本や他の先進国のものを信頼するという皮肉な状況になる。自国の不安だらけの環境より、消費者からみると、おそらく消費市場がすでに成熟しており商品が一定水準以上、かつ日本や他の先進国の人も使っているという状況のほうが、わかりやすく、信頼しやすいのだろう。

したがって、日本は安いから買っているだけではない。2015年初より約15%も円高になっている現在、訪日中国人の消費額は依然として訪日外国人の中でも高水準を維持している理由は、日本で買ったものは、「本物」なので、「安心」でき、「日本人も使っているので効果がありそう」といった深層心理である。

中国人の爆買いは終わらない

ビジネスでもプライベートでも、一定の共通認識、または基本信頼関係を持つ日本人は、中国人の他人への強い不信感を理解することが難しいだろう。基本的に身内しか信頼しない、市場で流通するものにつねに疑いを抱く。「タオバオ」などC2C電子商取引プラットフォームでものを売るとき、買い手の最初の質問のほとんどが「これは本物なの?」という社会環境は、日本とまったく違うだろう。その結果、インバウンド戦略も中国国内消費市場での開拓も、日本人の感覚を「捨てる」必要が出てくる。

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