立ち入り厳禁!最先端「航空機タイヤ」の秘密 ブリヂストンが創業の地で手掛ける最新技術
競合プレーヤーは仏ミシュランと米グッドイヤーしか事実上存在せず、現状でもブリヂストンは4割のトップシェアを誇る。特にラジアル構造のタイヤは、ブリヂストンとミシュランのみという超高付加価値タイヤだ。
タイヤの骨格となるコードが斜めに配置されているのがバイアスタイヤ、放射状に配置されているのがラジアルタイヤと呼ばれる。航空機タイヤの世界は依然として従来型のバイアスタイヤが中心だが、足元では新興勢力を中心にラジアル化が進んでいる。
ラジアル化の動きを先取り
この動きに対応しようというのが、ブリヂストンの戦略だ。「今も強いがもっと強くする、そのためにラジアル化の動きを先取りする」と、石橋秀一副社長は能力増強の発表時に決意を語っている。
ラジアルタイヤはバイアスタイヤに比べ、軽量、長寿命でリトレッド(張り替え)の回数を半分に抑えられる。また、強度も高いため安全性にも優れる。
それでもバイアスタイヤが残っているのは、分厚く、乗り心地がいいことに加え、航空産業に特殊性があるためだ。航空機の部品は厳しい認可制度が取られており、新たに認可を得るにはすべてのデザイン・設計をやり直さなければならない。このため、従来型のバイアスタイヤが多く残されてきた。ただ、リージョナルジェットを中心とした新興勢力が、優位なラジアルタイヤを使用し競争力を増す中で、既存の大手もラジアル化に踏み切りつつある。
こうした流れを受けブリヂストンは、久留米工場の増強に加え、タイでも総額150億円を投じ、2019年12月に航空機タイヤの新工場を建設する計画。新たにリトレッド設備も設ける。久留米工場は、そのマザー工場の役割も担うことになる。
航空機タイヤの売上高がブリヂストン全社に占める割合は現状1%程度にとどまる。ただ、通常のタイヤの倍の利益率があるといわれ、収益貢献は大きい。そのため、同社の中では戦略商品の位置づけであり、今後はリトレッドやサービス提供も拡充する意向だ。
かつて、久留米の地に置かれた俘虜(ふりょ)収容所にいたドイツ人から伝わり根付いたというゴムに関する技術。その技術は、最先端の航空機タイヤにも脈々と引き継がれている。
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