ついに動く岸田氏、「ポスト安倍」が始まった 日米首脳会談と同時に新潮砲炸裂の修羅場で

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パーティーでは、派閥会長に岸田氏が就任して初めての政策集の骨子も発表した。総裁選を見据えた「政権構想」にもつながる内容で、第1項目に「国民の多様な声、異なる意見にも耳を傾け、ボトムアップの政治を行う」などと記したあたりは、トップダウン型の安倍政治へのアンチテーゼともみえる。さらに、エネルギー政策では「世界をリードする低炭素社会を目指す」と書いたが、原案では安倍政権の原発維持政策を批判する文言があり、「政治的配慮で削った」(岸田派幹部)とされる。 

派内にも主戦論

岸田氏はパーティー後、記者団に「政策あるいは政治スタンスを明らかにしていくことは大事だ」と語ったが、総裁選に立候補するかどうかについては相変わらず明言を避けた。岸田氏は16日夜に首相と二人だけで密談したが、総裁選への対応については「何も決めていない」として状況次第では出馬する考えを首相に伝えたとされる。岸田氏周辺も「勝負はこれから」としており、政局混迷を受けて同派内でも主戦論が強まっている。

ついに動き出した岸田文雄氏。自民党保守本流のプリンスに政権は渡るのか(写真:ロイター/Kim Kyung-Hoon)

この岸田派パーティーの最中に飛び込んだのが福田次官の辞任表明のニュースだった。麻生派会長としての来賓出席を取りやめた麻生財務相が、福田氏辞任を公表したのが午後6時半頃。パーティ―会場の演壇脇に設営された議員コーナーには、岸田氏や古賀誠・岸田派名誉会長(元幹事長)ら同派幹部と自民各派領袖の二階俊博幹事長、石破氏、石原伸晃元幹事長らが集結しており、「福田氏辞任」の速報が事務局から伝えられると、それぞれ「やはり」「遅すぎた」などの嘆声を発した。

岸田氏は党最高幹部の一人として財務省の対応に苦言を呈してきたこともあり、「ますます緊張感を持たなければならない」と表情を引き締めた。また、福田氏と親しい領袖の1人は「あいつ(福田氏)はわきが甘いからな」と苦笑し、財務省の対応を「何をやっているんだ。財務省がつぶれるぞ」と怒った。

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