ついに動く岸田氏、「ポスト安倍」が始まった 日米首脳会談と同時に新潮砲炸裂の修羅場で

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事務次官辞任という不祥事は「財務省内部の問題」(自民幹部)ではあるが、最強の官庁の事務方トップで、その上司が安倍政権の大黒柱で首相の後見人を自認する麻生氏だけに、政界全体に衝撃が広がった。

しかもそれから約5時間後の19日午前零時過ぎ、テレビ朝日の幹部が緊急記者会見し、福田氏のセクハラ疑惑の当事者とされる女性が同社の財務省担当記者であったことを公表し、週刊新潮の記事内容も大筋事実であるとの調査結果を説明したことで、財務省側の言い分は「誰も信じない状況」(自民幹部)となった。

次は麻生財務相の「進退」が政局の焦点に

そもそも、財務省幹部を取材対象とする同省記者クラブ(財政研究会)では「福田氏のセクハラ発言は昔から有名」(ベテラン記者)との声が少なくなかったとされる。それだけに、麻生財務相があえて福田氏をかばったことが事態を深刻化させた格好だ。首相らは「早くクビを切って政権への影響に歯止めを掛けたほうがいい」と先週末の福田氏更迭を求めていたとされ、いったん福田氏が全否定し、麻生氏も続投させたことで「よけい、傷口を広げた」のは間違いない。

総裁選への出馬準備を進める石破氏は18日夜、記者団に対し「(福田氏の)あの全否定はなんだったのか。いったん全否定し、週刊誌を告訴すると。そのような記者がいるなら、名乗り出なさいと財務省の名前で言って、一転辞める。なんなんだという感じがする」と苦々し気に語った。

財務事務次官の任命権者である麻生財務相が、米ワシントンで19、20両日に開催される20カ国・地域(G20)財務相・ 中央銀行総裁会議出席のため19日午前に訪米したことから、福田氏の正式な次官辞任と後任人事の決定は週明けになる見通しだが、与党内からも「辞表は受け取らず、懲戒免職にしないと、けじめがつかない」(公明党幹部)との厳しい声も相次いでいる。

一方、公文書改ざん事件など一連の疑惑で政府を攻撃してきた野党各党は一段と勢いづいた。立憲民主党など野党6党は19日午前、福山哲郎立憲民主幹事長らが自民党の二階幹事長らと会談した。席上、福山氏は6野党の総意として、セクハラ疑惑による財務事務次官更迭を受け、麻生財務相の辞任を強く要求した。併せて、加計問題での柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)の証人喚問も求めた。

自民党はすでに、首相と麻生財務相が帰国後の週明け23日に衆参予算員会での集中審議と柳瀬氏らの参考人招致を野党に提案しているが、野党側は「証人喚問に応じなければ国会審議に協力しない」(福山氏)と強硬で、折衝は難航している。ただ、自民党内にも「もう、麻生氏はもたない」との声が出始めており、週明け以降は麻生氏の進退問題が当面の政局の焦点となることは避けられそうもない。

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