家造りから「大工」が消える?効率化の光と影 木造住宅の変化で人知れず消える技術と道具

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厳しい状況に置かれた大工だが、一縷(いちる)の望みも残されている。リフォーム市場だ。

仕様が決まっている新築住宅とは異なり、既存住宅の補修・改築の方法は千差万別。大量生産を得意とするプレカットが苦手とする分野で、「リフォーム市場は視野に入れていない」(北大路専務)。

リフォーム市場に活路

森の恵や岩木屋木工でも、住宅の修繕やリフォームの需要が大半だ。「既製品では対応できない工事もたくさんあるうえ、改築する場所以外の部分を傷つけずに施工するには技術がいる」(岩木代表)。

大手ゼネコンからも伝統建築や和室の工事の依頼が舞い込むなど、新築以外に目を向けると、大工の腕が頼りの場面はまだまだ多い。

東証1部上場で中古住宅の再生事業を手掛けるカチタスは、「プレカットは新築での施工は容易だが、リフォームでは在来工法(大工による施工)とあまり変わらないか、むしろ難しくなる。大量の木造住宅をリフォームするうえで、優秀な大工はたいへん有用な存在」と語る。年間の木造住宅取扱い戸数の増加に伴い、大工に外注する工事量も増えているという。

手仕事と機械とのせめぎ合いは、どの業界でも行われてきた。大工が家造りの担い手でい続けられるか、正念場だ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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