「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか

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その中に11月9日の国家戦略特区諮問会議が決定した獣医学部設置基準に影響を与えた「広域的に獣医師系要請大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」という文書が見つかり、萩生田光一官房副長官(当時)の指示によるものとされたが、萩生田氏はこれを否定した。ではいったい誰が指示したのか。加計学園獣医学部新設を巡って、いまだ多くが明らかにされていない。

このたび公にされた「愛媛県文書」と農水省で見つかったメモにも謎はある。

なぜ違いがあるのか

まずは文書の作成日だが、「愛媛県文書」は4月13日とされているのに対し、農水省のメモは4月3日になっている。また内容については「1」に記載された藤原氏と柳瀬氏との面会メモは共通しているが、「2」が以下のように異なっているからだ。

<愛媛県文書>
ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい。
<農水省のメモ>
ついては、県としては、国家戦略特区申請のための提言書(案)について、今治市の意向を踏まえて、加計学園とも協議しながら、連携して策定を進め、内閣府と相談させていただきたい。

もっとも中村知事によれば、これは公文書ではなく「備忘録」。よって何度か書き換えられたのだろう。その仕事ぶりの丁寧さから、担当者の熱意も感じられる。

だが、岩盤規制を突破するための国家戦略特区が不公正なプロセスを経て行われていいはずがない。身贔屓(みびいき)特権という名のより強固な岩盤を作ったのだとしたら、まさしく本末転倒といえるだろう。

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