Uber事故を米自動車技術会が語らない不思議 自動運転は企業間競争を最優先していいのか

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GMが2019年に事業化を目指す、完全自動運転・レベル4の実験車両(筆者撮影)

腫物には触れない?

調査結果を待つのは当然だ。だが、議論しようともしないのはなぜか。

4月10日から12日にかけて、米国デトロイトで米自動車技術会(SAE)が、年次総会にあたるワールド・コングレス・エクスペリエンス(略称:WCX)を開催した。

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SAEは自動車に関する標準化・規格化などの分野で世界的な影響力がある業界団体で、WCXは日本を含めて世界各国の自動車技術者が集う学会である。10年ほど前までは、エンジンなどの内燃機関や車体構造、そしてカーデザインなどの分野が主流だったが、近年では次世代自動車の開発項目として、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車などの電動車、車載器とクラウドを結ぶコネクテッド技術、そして自動運転が技術課題の中核になっている。

WCXの展示会の様子(筆者撮影)

自動車技術に関して、直近での大きな話題といえば、アメリカで起こった自動運転に絡む死亡事故がある。

3月18日、ライドシェアリング大手のウーバー(Uber)がアリゾナ州テンピで完全自動運転車の公道実験中に歩行者をはねた事案。そして3月23日、個人所有のテスラモデルXが自動運転機能を作動させた状態で中央分離帯に衝突した事案である。

これら2つは「自動運転の今後の在り方を問う重大な事故」として、世界各国のメディアが大きく取り上げている。両件とも米連邦政府の事故調査が続いている状況だが、アメリカの一部メディアは独自取材を進めており、臆測を含んださまざまな報道が後を絶たない。

また、両事故の当該車両の製造者、自動車部品メーカー、また半導体メーカーなどがそれぞれ「自社の技術による責任はない」との独自見解を自社サイトや自社SNSで発表したり、メディアへの取材に対して発言したりしている。

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