女子高生3人が「アニメ制作」に没頭する理由 「映像研には手を出すな!」の世界観は斬新だ

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この作品の一番のポイントは、本来“二次元”でしか展開されることのなかったマンガの表現方法を大きく逸脱した、「吹き出し」の魅せ方にある。

奥行きを使う、角度を変えるなど、今までに見たこともなかった表現方法は読者への新しいマンガの読み方、表現の仕方を教えてくれた。それは、マンガという表現における“発明”であり、“挑戦”だった。

そして、この発明はきっと作者の心の声なのだろう。こだわること、誰も見たことのない世界や景色を読者に届けたいという。

もっと言うと、「これを今どうしても描きたいんだ」という作者のメッセージはお話の中で、絵の一つひとつの設定で、そしてコマ割りからセリフの一つひとつにまでそんな作者の熱意が散りばめられている。

クリエイターは誰かの言葉で救われている

主人公のひとりである水崎ツバメのこのセリフが、作品に込められた作者の思いを言い表している。

『チェーンソーの振動が観たくて、死にかかっている人が居るかもしれない
私はチェーンソーの刃が跳ねる様子を観たいし、そのこだわりで私は生き延びる。大半の人が細部を見なくても、私は私を救わなきゃいけないんだ。動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、言わなくちゃいけないんだ。』

誰にも理解されなくても、誰も見てくれなくても、それでも作りたい、どこかにいる誰かに届いてほしい。

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それこそがクリエイターの本分であり、それが届いた時の誰かの言葉やリアクションを知ることこそが至福の時なのだろう。

クリエイターや作家は、そんな言葉やリアクションに救われている。

彼女たちはまだ若い。これから色んな苦難や現実がやってくるけれど、どんな時でも信じあって支えあえる仲間が居るということは幸せなことである。

映像研はまだはじまったばかりの物語。

彼女達がどこへ行くのか、そして彼女たちが作るアニメが僕達をどんな風に感動させてくれるのか? 楽しみは尽きない。

彼女たちが織り成す、新しいマンガの地平線の果てはまだまだ終わりが見えない。だからこそ面白いのだ。

(文:森本 タカシ)

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