アップル「100%再生エネルギー」の深い意義

難関だった日本でもついに「100%」に

リサ・ジャクソン氏(写真:アップル)

アップルという巨大企業を運営する上では、いうまでもなく電力が必須だ。オフィスや直営店に加えて、データセンターでも膨大な電力を消費する。アップルは2011年から取り組みを始め、2014年に米国や中国で100%を達成し、これまでのところ「グローバルでは96%」と進捗状況を伝えてきた。

今回の100%達成発表についてリサ・ジャクソン氏は、「非常に喜ばしいマイルストーン」と語った。その理由は、彼女のキャリアにも関係している。

ジャクソン氏は化学エンジニアの学位を修め、米国環境保護庁でキャリアをスタートした女性科学者。2008年から2013年までのオバマ政権時代には、同庁の長官として米国の環境政策、気候変動の問題に対処する対策を主導してきた人物である。

その後2013年にアップルに転じて現職を務めるが、そのことについて「夢の仕事だ」と表現する。

これまで米国1カ国に関する取り組みを進めてきたが、アップルは世界中に拠点があり、世界中の人々が製品を使っている。より大きなスケール、まさに地球規模で気候変動に取り組む舞台に立ったからだ。

アップルに入社する際、ティム・クックCEOからはこんな言葉をかけられたという。「アップルの製品を使い人々が暮らすことと、地球を守ることは同義であるべきだ」。

「クローズドループ・サプライチェーン」を目指す

アップルは環境対策として、再生可能エネルギーへの転換や有害物質を使わないこと、またカーボンフットプリントの削減に取り組んでいる。またiPhoneなどのアップル製品の回収と資源のリサイクルを進めており、将来、リサイクル資源100%で新たな製品を作りだすことを本当に目指している。このことを「クローズドループ・サプライチェーン」と呼んでいる。

こうした数々の取り組みの中で、今回の再生可能エネルギーへの転換の完了は、一つのプロジェクトの終わりでもあり、また始まりとなった。

今回の発表で、米国、中国、英国、インド、そして日本を含むあらゆる国でのオペレーションが、100%再生可能エネルギーで賄われるようになった。その方法も、排出権取引のように消費した分の電力を再生可能エネルギーを購入するのではない。

次ページ日本は難しい国だった?
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 映画界のキーパーソンに直撃
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スクープ! 積水ハウス地面師事件<br>「封印された報告書」の全貌

「なぜ積水はだまされたのか」。2年前の地面師グループによる大型詐欺事件。謎を解く同社の内部資料を本誌が独自に入手した。だまされた積水が調査報告書の公開を拒む理由は。取引を承認した役員が現在も要職にある“闇”をいま明かす。