一本負け?! 国際連盟の暴走に振り回されるニッポン柔道界

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サッカーを手本にビッグビジネスを志向

この構想を打ち上げるのと並行して、ビゼール氏はスポンサー探しに動いた。常々「IJFをFIFA(国際サッカー連盟)のような組織にしたい」と語っているだけに、ビジネスも大仕掛けだ。国際大会の放映権、興行権、看板広告の営業権、関連商品のマーチャンダイジング権をIJFが一手に握り、6年分の権利を一括して売却する意向だ。

しかし、対象期間中の放映権が売約済みのケースもある。IJF側の言い値は100億円を軽く超えるとみられ、これまでの相場とはケタ違いだ。「IJFのやり口は常識外れ。誰もまともには取り合っていない」(スポーツマーケティング専門家)。日本の広告代理店だけでなく欧州一の柔道大国であるフランスの企業からもそっぽを向かれており、ビゼール会長も早晩方針転換を迫られるという見方が強い。

全柔連が講道館と共催する嘉納治五郎杯東京国際柔道大会は、新体制の下ではGSとして扱われる予定だ。それでも、全柔連としては放映権などをIJFに渡す考えはない。日本は柔道ビジネスの「最大市場」。IJFも日本の意向を完全に無視することなどできないという読みだ。

この時期に自らに権限を集約する規約改定案を持ち出した理由について、ビゼール会長は本誌に「09年からの新しい競技体制発足の前にマネジメントの陣容を確定させるためだ」とコメントした。また、理事の過半を会長が指名するのは「選挙運動にかかる労力や時間を省けるうえ、柔道の発展のためによりふさわしい人間を選ぶことができるようにする」ためだとしている。

しかし、会長派で固めた理事会の下で加盟国全体の意向を反映した運営が保証されるのか、疑問の声があがる。会長が独裁的な運営に走ったとしても、それを止めるすべはない。

日本の柔道指導者の間には「今後、ビゼール会長が競技ルールなどの抜本見直しを言い出したときに止められるのか」との憂慮もある。だが、全柔連は10月6日に開いた専門委員長会議で、規約改定案に「反対せず」という意見をまとめた。ビゼール会長の豪腕を前に、議論を尽くさないまま日本の柔道界は欧州に主導権を明け渡そうとしている。

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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