あの英国一家が日本食を愛してやまない理由 短期間では味わいきれない多様性がある
子どもたちは本当に日本が好きで、日本中を旅するのも楽しんでいるし、いつか住みたいと考えているようだ。もちろん、彼らには理解できない、不思議すぎるものもある。たとえば、長崎ハウステンボスでは、妻だけでなく、なぜか僕も男性に「壁ドン」をされたのだが、彼らにとっては両親が壁ドンされるのを見るのは、死ぬほど恥ずかしい体験だったようだ(笑)。
――子どもと旅行することで、マイケルさん自身が得ることは?
子どもと旅行することは、2つの利点がある。1つは、子どもの視点から世界を見ることができて、自分が子どもに戻った気分になれることだ。もう1つは、子どもと一緒にいることで、旅行そのものや体験がまったく違うものになることだろう。
僕は、いろんな人に「日本は子どもを連れて休暇で訪れるのに世界最高の国」だと伝えている。安全で、キレイで、すべてがきちんと機能していて、しかも日本人はみんな子ども好きだ。日本にはすばらしい歴史があって、子どもたちとそれを学んだり、話したりしながら、その後、たとえば、500年前の歴史を背負った料理を味わうことができる。
金沢は驚くべき食の都だ
――あえて印象に残っている食を挙げるとすれば。
驚くべき歴史と作り方、そしてストーリーがある鮒寿しと、それを作っている「喜多品(きたしな)老舗」だね。鮒寿しはとても酸っぱくて、おいしいと思うのに少し苦労したが、鮒寿司の歴史は本当にすばらしい。もっとも美味しかったのは、いろいろあるんだけど……海ぶどう、かな。海ぶどうは本当に驚くべき食べ物だよ!
それから湯葉も好きだし、白子、あん肝、のどぐろも大好きだ。のどぐろは金沢で食べたのだけど、金沢は驚くべき食の都だね。今回のナンバーワンだ。高知の市場もすばらしかった。ああ、それから北海道では洞爺湖で海鮮丼を食べたし、1日ウニばかり食べた日もあったっけ……。
――美味しくないものはハッキリと「美味しくない」「苦手」だと書きますね。
食べたものをすべて「おいしい」ということもできるけど、それは意味のないことだ。信頼されるには、きちんとメリハリをつけないといけない。そうしないと、読んだ人も信じてくれない。誰にでもいい顔をするのは読んでいる側にとっても面白くないだろう。
たとえば、喜多品で鮒寿司を食べたとき、僕は彼らに「あんまり好きじゃないかもしれない」と伝えた。すると、彼らは「ご心配なさらず。食べに来た人の半分は好きじゃないといいます」と言っていた。彼らは何百年もお店をやっているのだから、ちょっとばかりの批判には慣れているんだよ。
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