新入社員が知るべき給与明細「4つの秘密」 貯金したい人は「額面」と「手取り」の差を知れ

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最後に、引かれている項目のうち、2の「厚生年金保険料」というのは国の年金制度です。これは説明すると長くなるので、また別の機会に詳しくお話ししますが、これだけは知っておいたほうがよいと思います。

1.自分が引かれている保険料と同じ金額を会社も負担して国に納めているということ

2.国の年金はどんなに長生きしても死ぬまでもらえること

前述しましたが、なにせ負担する保険料の半分は会社が負担しているわけですから、コストパフォーマンスは決して悪くないのです。

無駄な保険に入るよりも、貯蓄に回すのが賢い選択

ということで、サラリーマンは入社と同時にこれらの保険制度に自動的に加入し、人生のいろいろな場面、特に病気や入院・失業といった不遇なときや年を取って将来働けなくなったときにサポートを受けられる仕組みが整っています。

これらの制度を何も知らないために無駄な保険に入ってしまうぐらいなら、そのおカネを貯蓄に回したほうがよほど将来頼りになります。何しろ、おカネは目的を決めなくても貯めておけば、使いみちは後で自由に決められるからです。これがおカネの良いところです。

若いうちから資産形成にはしっかり取り組むべきだと思いますが、国の保険でカバーされる部分をまず考えるべきです。そのうえで、それだけでは足らない部分を会社の制度や自分の貯蓄などで補っていく、これが賢いサラリーマンの資産形成法の考え方です。

そのためにも、自分の給与明細を見直し、どんなメリットがあるのかを考えることが大切です。さらにサラリーマンの多くはこうした「国の制度」に加えて「会社の制度」があります。会社の制度の多くは福利厚生制度の一環として会社が社員のために資金を出して運営しているものも多いので、かなり有利なものもたくさんあります。

何ごとも最初が肝心です。新入社員のみなさんは初月給をもらったら、ぜひ手取り金額だけでなく引かれている項目もチェックしてください。実はその中に無駄を省いておカネが貯まるコツがあるからです。

次回はこうした国の制度に加えて、「会社の制度」についても考えてみることにしましょう。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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