女性活躍は「最低賃金引き上げ」で実現可能だ

「1300円」まで高めれば状況は劇的に変わる

前回(日本は、「無能な経営者」から改革するべきだ)、腰の重い日本の経営者を動かすためには「動機づけ」が重要だというお話をしました。今回の記事では、女性活躍促進をテーマに取り上げますが、女性の活躍を促すうえでも、重要なのは動機づけです。

私は、女性の活躍が日本の将来のために絶対に必要だと、心の底から思っています。それは、理念として男女平等であるべき、そうでないのは女性に失礼だなどという、倫理的な理由からではありません。女性の活躍なくしては、社会保障制度は維持できないし、日本経済は生き残れないからです。

生産性向上には女性活躍が不可欠

なぜ、女性の活躍が日本経済にとってそれほど重要なのかを説明していきます。

先進国では、生産性と女性の経済参加度の間に、77%という極めて高い相関関係が確認されています。つまり、女性の活躍が進んでいる国ほど、生産性が高い傾向が顕著なのです。

ここでいう女性の経済参加度とは、女性が社会に出て働く比率、すなわち労働参加率が高いことだけを意味しているわけではありません。同一労働・同一賃金が徹底されているということだけでもありません。先進国では、女性の労働参加率が高いうえに、男女の生産性の差が低く、所得の差も小さい、つまり男性と女性が「同一労働」をしている国ほど、生産性が高くなる傾向が顕著なのです。

日本では、女性の労働参加率は上がっていますが、男性と同一労働をしている比率はそれほど上がっていません。一方、世界では同一労働化が進み、男女間の賃金格差はどんどん小さくなっています。たとえばアメリカでは、40年前には男性の収入の6割程度だった女性の収入が、今では8割を超える水準になっています。残念ながら日本は同一労働化が進んでおらず、女性の収入は男性の半分強と極めて低い水準のままです。

実は、海外では女性が生産性向上に男性以上の貢献をしているのですが、日本ではまるで逆の現象が起きています。

先ほども説明したとおり、日本の女性の収入は男性の約半分ほどです。つまり、日本では女性の労働者が増えれば増えるほど、全労働者に占める生産性の低い人の割合が増えることになります。日本人女性の労働参加率が高くなればなるほど、日本全体の生産性を押し下げ、他の先進国との差が大きくなるという、極めて皮肉なことが起きているのです。私は、日本人女性の活躍が海外先進国を大きく下回っていることによる経済損失を約130兆円と試算しています。

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