女性活躍は「最低賃金引き上げ」で実現可能だ

「1300円」まで高めれば状況は劇的に変わる

日本の年金制度は1961年に始まりました。当時の支給開始年齢は55歳で、男性の平均寿命は65歳でした。つまり、年金支給期間が「平均10年間」であることを前提に、制度設計されていたのです。

ご存じのように、日本人の平均寿命は男女とも80歳を超えています。さらに、女性の平均寿命は男性より7歳も長く、その分長く年金を受け取ることになるのです。この事実だけからも、女性たちは今より多くの社会保障費を負担するべきだという結論が導かれます。

数字を見れば、今の経済システムは女性に不利な部分も多いですが、決して男性だけが優遇されているというわけでもありません。現状、日本ではGDP総額の71%を、全人口の48%しかいない男性が創出している計算になります。しかし、今後ますます負担が増す社会保障制度の、少なくとも60%以上の恩恵を受けているのは女性です。これは決して健全な状況とはいえません。

社会保障制度は社会そのものの変化を促す地雷だった

レディーファーストという言葉が広く知られているせいか、欧州では女性を先に立てる価値観が伝統的に根付いていると思い込んでいる日本人が少なくありません。しかし、それは誤解です。欧州も日本と同様に、つい最近までかなり強い男尊女卑の社会で、結婚後女性は家庭に入り家を守るのが当然とされていました。

しかし、社会保障制度を導入した後、長寿化が進むのと同時に子どもの数が減ってしまい、次世代に賄ってもらうという社会保障制度の前提が崩れてしまいました。その結果、男性だけでは社会保障制度を支えきれなくなり、「男性が外で働き、結婚後女性は家を守る」という旧来の社会制度をも変えざるをえなくなったのが、欧州先進国の実態です。導入時点では誰も気づいていなかったのですが、社会保障制度は「文化」まで大きく変える地雷だったのです。

日本では最近まで人口が増えていたので、これまで地雷を踏まずに過ごして来られました。しかし、子どもの数が年々減ってしまうようになった以上、もう地雷を避けて通ることはできません。欧州と同じように従来の文化を変えなくてはいけない時期を迎えたのです。

日本では、女性も男性と同様の教育を受けています。そこで培った能力や知識を家庭内でのみ使うことを許す余裕は、残念ながら日本にはもうないのです。

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