テスラがEVに隠した「謎バッテリー」の正体 マーケティングと性能の密接な関係

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実は現在のEVは従来のガソリン車と比較した場合、航続距離でも価格でも太刀打ちできない。満足行く航続距離にするには大容量・高性能のバッテリーを搭載しなければならないが、そうすると価格が高くなり、従来車と比較して劣後してしまうのだ。

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過去にも何度かEVブームはわき起こったが、そのたびに、従来車との性能差や価格差の壁に阻まれ頓挫してきた。もちろん、技術革新により今日までに大幅に改良されてきたが、それでもまだ航続距離と価格では従来車に軍配が上がる。この問題をテスラはマーケティングで乗り越えた。

2008年はじめに上市した「ロードスター」は1000万円以上もする超高級車であったが、米国西海岸をはじめとする富裕層に支持され、高級車としては大ヒットを記録した。2012年に発売された「モデルS」は発売以降順調に販売台数を伸ばし、2016年には4万台以上を販売した。こちらも800万円以上する高級車である。

テスラの成功要因は、このように、高級セグメントに向けてEVを開発し市場投入したことだ。ターゲットとするユーザーを、先端技術やトレンドに対する感度の高いアーリーアダプターとし、かつ展開車種をプレミアムクラスに絞ることで、EVを事業として成立させたのだ。

プレミアムクラスのEVであれば高価格に設定できるので、製造コストにしばられることがない。実用性の点で申し分ないバッテリー量を搭載し、500kmほどの航続距離を実現した。また、欧州の高級車を彷彿とさせるような流麗な外装デザイン、世界最先端の自動運転機能などを搭載し、これまでのガソリン車では得られない新たな魅力を提供している。ここに、テスラのEVが売れる理由がある。

充電中の「モデルX」(撮影:東洋経済オンライン編集部)

テスラはEVを「電気で動き、環境に優しいクルマ」として売っているのではない。「先進的なデザイン、圧巻の加速性能、最先端の技術を詰め込んだ未来のクルマ」として売っているのだ。

ユーザーも、それがEVだから買っているのではない。それが、「テスラ」という新進気鋭の自動車メーカーが作った「これまでのクルマとは異なる革新的な未来を感じるクルマ」だから買うのだ。

高級セグメントに特化したことでEV市場の開拓に成功したテスラは従来の自動車メーカーにとっては衝撃的であり、現在の欧州各社のEVシフトにおける取り組みのモデルケースにもなっている。ダイムラーやBMWなどの高級車メーカーにとっても、看過できない大きな脅威となりつつある。

テスラに搭載されている謎のバッテリー

このテスラの車両には、普段は使用されない、つまり余剰なバッテリーが搭載されていることがわかった。

事の発端は、2017年夏の大型ハリケーン「イルマ」の進路となり避難命令が出された米国フロリダ半島でのことだ。テスラはユーザーが安全に避難できるよう、ネットワーク上から、関係地域のテスラ車のバッテリー容量を一時的に増やす措置をしたのだ。

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