交通系ICカード「導入費用」は半端じゃない

システム検証や社員教育の負担も大きい

この片利用が可能なエリアも含めて、10カードが全国でどのくらい普及しているのかについて、国土交通省が取りまとめた資料がある。これによれば、まず都道府県別に見ると、2017年3月末時点で、10カードが”未導入”の都道府県は6県ある。このうち、青森、秋田、徳島の各県は県内に独自カードも導入されておらず、まったくのICカード”空白地帯”だ。他方、高知、愛媛、沖縄は独自カードが導入されている路線はあるものの、片利用ができない状況だ。

同資料によれば、”10カードが導入されていない都道府県の数”は、2013年度には12県だったのが、2017年度には6県にまで減ったという。これだけを見れば、ICカードの利用可能範囲は着実に広がっているように思えるが、”導入”、”未導入”の判別が、都道府県内のほんの一部でも10カードが使えれば”導入”となることから、必ずしも体感と一致するとは限らない。

もちろん、全国津々浦々にまでICカードを導入すべきだなどというつもりはないが、県庁所在地および人口20万人以上の主要都市(全国計115都市)に限ってみても、2017年3月末時点で、JR、大手民鉄等以外の2次交通にICカードが導入されていない都市が20都市、地域独自カードが導入されているものの10カードの片利用ができない都市が14都市もある。

以上を踏まえ、交通系ICカードを導入するには、中小鉄道・バス事業者にとって、どのような負担があるのかについて、2018年4月1日からのPASMO導入を表明している「湘南モノレール」(大船―湘南江の島 8駅6.6キロ)を中心に取材した。

湘南モノレールはPASMO

湘南モノレールはICカード対応機の設置が完了(筆者撮影)

「湘南モノレール」(大船―湘南江の島 8駅6.6km)は、首都圏では残り少ないICカード未導入路線となっている。同社は2015年6月に三菱重工業をはじめとする三菱グループから経営共創基盤傘下の「みちのりホールディングス(HD)」に株主が変わり、同年10月に尾渡英生社長が就任した。現在、尾渡氏の下で進めているICカードの導入と、駅のバリアフリー化は、社長就任当初から検討をはじめた経営課題だという。

ちなみに、同社ではICカード導入に向け、PASMO協議会に加盟し、PASMOのシステムに接続する方法と、親会社であるみちのりHD傘下の茨城交通グループ、および福島交通グループで地域独自カードの導入実績があることから、その知見の提供を受けながら地域独自カードを導入する方法との2案を比較検討し、結果的にはPASMOを導入することになった。PASMO導入を社内決定したのが、2016年3月頃であり、実際の導入まで丸2年がかかったことからも、その準備作業の大変さがうかがえる。

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