「非正社員に頼る会社」が免れない3つの変化 ルール大転換で「雇用の調整弁」は維持困難に
だが、周知しなくても無期転換権は発生し、次の契約更新以降も権利が消滅することはない。放置しても労使紛争の火種を抱えることに変わりはない。厚生労働省は特設のホームページを設置し、無期転換に関するパンフレットやモデル就業規則を示すなど、PRを強化している。
実際に現場でも、「労働者から無期転換に関する相談があったら、企業への指導・助言や斡旋に積極的に乗り出している」(労働局職員)という。
これから半月後の制度開始前後には、SNSなどで拡散される可能性もある。その際に会社側が当事者たちに何も伝えてなかったら、「ブラック企業」との評判も立ちかねない。
有期雇用派遣の3年期限ルールも導入
第2の衝撃とされるのが、9月に到来する有期雇用派遣の3年期限ルールだ。2015年9月末の改正労働者派遣法施行によって、同一の派遣社員を同一組織で3年を超えて受け入れ続けるには、自社で直接雇用するか、派遣会社がスタッフを無期雇用する、無期雇用派遣にするなどへの転換が必要となった。影響が特に大きいのは、事務系の派遣社員を多く活用している企業と、派遣会社である。
改正法以前の派遣制度は業務内容で派遣期間を区分しており、事務用機器操作や秘書など事務系派遣の多くは「専門26業務」として期間制限がなかった。一方で製造系や販売系は、従来最長3年とされていた。このため事務職は比較的長く同じ派遣会社から同じ職場に派遣されてきた人が多いとされている。
改正法でも労使合意のうえで、派遣先企業が人さえ代えれば有期契約の派遣の活用は可能だ。だが、目下の「需給バランス」からそれも一筋縄ではいかなくなっている。有効求人倍率は右肩上がりの急伸を続けており、財務省の調査に7割超の企業で人手不足感があり、その要因として真っ先に「採用が進まない」ことを挙げている。
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