所沢は新「駅ビル」開業でイメチェンできるか 大手商社と組み、ハイセンスな店が多数入居

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華々しくオープンした「グランエミオ所沢」。向かいには西武鉄道グループの本社ビルもある。オープニングセレモニーで、西武ホールディングスの後藤高志社長は、「グランエミオ所沢開業にあたっては西武グループの総力を結集した」と、グループ一丸となって事業に取り組んだことを強調していた。

オープニングセレモニーで挨拶する西武ホールディングスの後藤高志社長(筆者撮影)

そのセレモニーには西武グループ以外の人も出席していた。住友商事の関係者だ。今回、西武グループは住友商事とパートナーシップを結び、2016年から所沢駅周辺一帯の再開発を二人三脚で行っている。当然、西武グループ単独事業という道も考えたが、沿線間競争に勝つためのよりよいものを作るために外部の力を取り入れた。

住友商事と組んだ理由について、西武プロパティーズ開発事業部の川上昇司マネジャーは以下のように説明する。

「数社から申し出があり、土地がほしいという会社や、(もうすでに発展している)西口の開発だけをやりたいという会社もあった。しかし、当社は所沢駅の東西を再開発したいと考えており、その形に一番近い提案をしてくれたのは住友商事さんだった」

テナント誘致はほぼ理想形

今回、建物は西武鉄道と西武プロパティーズが所有し、施設の運営は「テラスモール湘南」をはじめとする商業施設を運営する住商アーバン開発が行う。近隣私鉄各社の駅ビルに比べるとかなり洗練された印象を受けるのは、商業施設の運営に長けた住商が参加しているためだろう。

エントランスは上質感の高い内装になっている(写真:グランエミオ所沢)

西森総括支配人は「今回のターゲットは鉄道を利用する都市型生活者。生活や地域に密着した店舗も多く入れつつ、池袋にアクセスする路線もあるため通勤者向けにちょっと上質なライフスタイルを提案できるようにした」とこだわりを見せる。また、「当社は専門店の誘致に強みがある。今回、かなり理想に近い形で誘致ができた」と自信を覗かせた。

確かに住商アーバン開発が自信を持つのも頷ける。開業した次の月曜日の夕刻にも立ち寄ったが、「新しくできたから、ちょっと覗いてみよう」というよりは普段使いのように買い物を楽しむ人も目立ち、早くも立ち寄りスポットとして定着しそうな雰囲気であった。

今回の「グランエミオ所沢」はまだ第1期のオープンにすぎない。今後はいままで所沢ステーションビルやエミオ所沢があったところに第2期工事を行い、さらに40店舗をオープンさせる。「今回は生活に必要なものをコンパクトに詰め込んだが、第2期では線路上に人工地盤を作り、2フロアに約40店舗とゆったりとした空間構成にする」(西森総括支配人)。2020年の夏にオープン予定と少し先のことだが、期待は膨らむ。

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