所沢は新「駅ビル」開業でイメチェンできるか 大手商社と組み、ハイセンスな店が多数入居
今まではエミオ所沢で売場面積わずか1000㎡だったが、第1期では売場面積9900㎡、第2期では売場面積8600㎡がオープンし、売場面積は1万8500㎡まで広がる。店舗数・年商もエミオ所沢の約20店舗・約25億円(2016年4月~2017年3月)から、約120店舗・約140億円(第2期開業後、売上額は目標)になる。
西武鉄道グループは所沢を単なるショッピングゾーンにしたいわけではない。同時に「働きたいまち」への転換も目指している。
背景には、若い世代を中心に職住近接のため都心に住まいを求める動きが加速していることや、駅周辺への人口集積が進んでいることが挙げられる。所沢駅周辺地区では人口が伸びているものの、所沢市全体では2015年の国勢調査で人口減少に転じた。また、所沢駅周辺の商業集積も事業所集積も同じ人口規模のまちに比べると力不足という印象を受ける。
これまで西武沿線は郊外の団地や住宅地をメインに成長を続けてきた。所沢も市内に椿峰、松が丘といったニュータウンや所沢パークタウンのような大規模団地を抱える。これは沿線人口の伸びとそのボリュームを物語る一方で、片方向に需要が集中するというアンバランスな状況を生み出してきた。西武グループの資料によれば所沢周辺エリアから東京都心への通勤率は7割に達するという。
大手メーカーを所沢駅前に誘致
こうした周辺状況を受け、西武グループでは所沢駅周辺エリアのトータルコンセプトを「通過する街から『働きたい、住みたい、訪れたい』街へ、そして選ばれる沿線へ」としている。
2016年には東口にAEDメーカーの日本光電の本社と研究施設を誘致し、「今回のグランエミオ所沢開業でも雇用効果がある。メーカーや商業施設が集積し、働く場が形成されることで働きたいまちにかえていく」(西武HDの後藤社長)という。しかし、まだまだ取り組みとしては十分とは言いがたい。
そもそも来年春には西武グループの一部機能が池袋に移転してしまう。勤務地変更はグループ全体の2割ほどで、西武鉄道をはじめ多くの事業会社は引き続き所沢に残るというが、減少分の埋め合わせとなる働く場所の創出も重要だ。
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