所沢は新「駅ビル」開業でイメチェンできるか 大手商社と組み、ハイセンスな店が多数入居

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また、今回の所沢駅周辺再開発のため、所沢ステーションビルにあった「芳林堂書店」や東口の「オリオン書房」が閉店し、駅前から本屋が消えた。グランエミオ所沢にも「第1期は店舗の区割りを小さくしたため、書店として十分なスペースがとれなかった」(西森統括支配人)という事情から書店はない。そのため、駅から約350m離れたイオン所沢店にある書店まで行かなければならなくなった。

西森統括支配人はこの状況に対して「私としても気になっている点である」とコメントしたが、第2期開業時に書店がテナントとして入るかどうかは明言を避けた。しかし、所沢ほどの乗降客がある駅前に書店がないのは大きな懸念材料だ。実際地元メディアや市民はこのことに懸念や不満を持っているようだった。

また、Sトレインや拝島ライナー導入で「ゆとりある通勤」を提案している西武鉄道にとっても、同社の拠点である所沢駅前に書店がないということは沿線内外に悪いイメージをもたれてしまうのではないだろうか。グランエミオ所沢第2期開業時には書店がテナントとして入居するようにすることはもちろんのこと、現状に対しても一時的とはいえどうにかして駅ナカや駅近くの商業施設に書店を入れるといったサポートを望みたい。

独自性を打ち出せるか

数々の西武の車両を生み出した所沢工場も更地となり、再開発を待っている(筆者撮影)

所沢駅周辺の再開発はようやくスタートを切ったところで、徐々に懸念も解消されていくのではないだろうか。2年後の夏には、グランエミオ所沢第2期開業が控える。そして、西武・住友商事のパートナーシップによる開発は駅だけにとどまらない。西口のWALTZ所沢(西武所沢店)裏にある西武所沢車両工場跡地の再開発にも着手する。現在は駐車場としての利用がメインだが、2020年代中頃に広域型のショッピングセンターをオープンさせる計画だ。そのときには乗降客は現在の10万人から13万人に増え、9億円の増収を予想しているという。

西武HDの後藤社長は「所沢の住環境は素晴らしい。住むのに必要な施設が整っているし、遊ぶという観点でも充実している。また自然環境もよく、子供を育てるにもいい場所だ」と所沢の魅力をアピールする。今回のグランエミオ所沢は「新しい所沢」を示す施設として、とてもいい形でスタートを切った。

今後も外の力も入れながら、若い人も引きつけられるようなまちへとゆっくり着実にリニューアルしていくことを望みたい。そうした「独自性」を打ち出していくことこそが選ばれる沿線になる条件ではないだろうか。

鳴海 侑 まち探訪家

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なるみ ゆう / Yu Narumi

1990年、神奈川県生まれ。大学卒業後は交通事業者やコンサルタントの勤務等を経て現職。「特徴のないまちはない」をモットーに、全国各地の「まち」を巡る。これまで全国650以上の市町村を訪問済み。「まち」をキーワードに、ライティングをはじめとしたさまざまな活動を行っている。最新の活動についてはホームページ(https://www.naru.me/)やX(旧・Twitter、https://twitter.com/mistp0uffer)で配信中。

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