小田急「ロマンスカー」新ダイヤで沿線に明暗 喜びの海老名、通過の向ヶ丘利用者は「困惑」

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しかし、ついに2016年3月26日、一部の特急が同駅への停車を開始した。特急の海老名駅停車に慎重だった小田急の姿勢が大きく転換したことを象徴する歴史的な日であった。小田急は公式的には、海老名駅の小田急線とJR相模線との間の「駅間地区」で進めている、タワーマンション、オフィス、商業施設などからなる大規模開発に合わせて、同駅への特急停車を決断したとしている。

ただし、海老名駅への特急停車は本厚木駅の特急の停車本数を減らした分を振り向けたことで実現したのであり、本厚木駅との連続停車は避け続けた。その理由として、連続停車とすると、相模大野駅・海老名駅・本厚木駅の順に停車するパターンの列車が生まれ、停車駅の面で快速急行・急行との差がなくなることが挙げられる。

連続停車は利用客増の切り札だ

主に通勤客向けの特急に使用されるロマンスカー30000形「EXEα」(撮影:尾形文繁)

小田急ロマンスカー年間利用客数約1315万人は、関東大手私鉄の有料特急の中で最大である。観光のみならず、通勤でも多く利用されている。しかし、ロマンスカーの利用客数を増やす余地がまだある。その切り札のひとつが、特急の海老名駅・本厚木駅連続停車であると筆者は考える。

西武新宿線では、特急「小江戸」が2013年3月16日から東村山駅への停車を開始し、隣の駅である所沢駅とともに特急の全列車が連続停車し、特急の利用客を増やすことができた。両駅間の営業キロは海老名駅―本厚木駅間と同じ2.9kmだ。東武鉄道が昨年5月12日に公表した「東武グループ長期経営構想・東武グループ中期経営計画2017~2020」では「春日部駅停車特急の拡大」が明記された。

JRでも、東北新幹線の東京駅―上野駅間は3.6kmしか離れていないが、大多数の列車が上野駅に停まる。東海道新幹線に至っては2008年3月15日ダイヤ改正以降、全列車が品川駅・新横浜駅に連続停車するようになった。また、高崎線特急「スワローあかぎ」も一部列車停車駅だった北本駅・鴻巣駅に全列車が停車し、朝の新宿行き1本を除き、停車パターンが統一される。

このように特急停車パターンの統一は、昨今の鉄道事業者の大きなトレンドとなっているが、小田急でも町田駅・相模大野駅および海老名駅・本厚木駅に連続停車する特急を設定する決断がついに下されたのである。

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