米国政治問題で株は買い場、決着後は急騰へ 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸氏に聞く
ただ、デフォルトはさすがに、回避するだろう。議員が自国の信用を貶めるような愚劣な行為をやればおしまいだ。著名な投資家のウォーレン・バフェット氏も「議会は愚行のきわみという状況に近づくが、それを超えることはないだろう」としている。ただ、両党ともチキンレースを演じており、期限ぎりぎりまで引っ張ってしまうことはありうる。今週中に決着すればよいが、このままの状態で今週末を越えると、来週は慌しい波乱の相場となるだろう。
市場はデフォルトをやや意識し始めており、米国債の信用力を示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の5年物のスプレッドは9月初めの18bp(ベーシスポイント)から42bpまで上昇し、足元では38bpになっている。しかし、デフォルトは回避されると私は見ている。民主党もオバマケアは譲れないが、一部財政支出の削減を約束する譲歩をして、乗り切るのではないか。
下げ局面では段階的に買って上昇相場に乗る戦術
――これから先の相場の動き、日本株はどうなりますか?
今の日本株の下げは、ヘッジファンドのロング(買い)の巻き戻しであり、新たな売りではないことに注目すべきだ。東京オリンピックを材料に買いポジションを積み上げてきたので、いったん利食い売りをしている。ヘッジファンドも米国債がデフォルトするとは思っておらず、積極的な売りには動いていない。解決すれば株価が急騰することは明らかだからだ。
政治イベントは、過去の経験から言うと絶好の買い場だ。財務そのものの問題ではなくて、政治闘争なので、いつかは決着する。いつになるかだけだ。ファンダメンタルに基づく相場と違って、妥結すれば局面が一変する。長引くと、投資家心理が悪化し、先物の売りやプットオプションの買いでヘッジをする動きが広がるから株価は下がるが、一転両党が妥結したら、急騰に転じる。