「国務長官クビ」はトランプが暴走する予兆だ

大統領の権限をいかんなく発揮できる状態に

トランプ大統領がどの程度まで自身の見解を法律として実現できるかは不透明だ。すべてに関して意見は極度に対立している。しかし、ある意味でそれこそ重要かもしれない。トランプ大統領が意見を通すことに失敗したとしても、11月の中間選挙に向けて、これらの見解のほとんどは彼の政治基盤を活気づけうることが予想される。中間選挙は2020年のトランプ再選の見通しを占う重要な目安となる。

トランプ大統領の驚愕に満ちた政策の数々は、2016年の大統領選にロシアが干渉したと主張するロバート・ミューラー特別検察官からの調査から一時的に注意をそらすことに成功している。これについてトランプ大統領は、大統領が支配権を持たないところでの調査であると、明らかな欲求不満と怒りをあらわにしている。

ツイッターの使い方も上達

第45代米国大統領のトランプ氏がその役割を果たしつつあることは驚きではない。あらゆる国のすべての指導者はこうした自信にあふれるような時期を経るものだし、トランプ大統領は、いまそのプロセスにある。それでも、トランプ政権は、当初の混沌とした、時に悪質な(政権内における)戦いを、自らの有利な方向にコントロールできるようになってきている。

つい昨年まで、トランプ大統領のツイッターと公式発表はごちゃまぜで、これを政権内の誰もコントロールできず、メディアにたたかれる材料になっていた。2017年5月の欧州でのNATO首脳会議への出席の際は、特にひどい失態をしていた。しかし、最近ではツイッターをより戦略的に利用するようになっている。驚くべき発表をしたり、貿易や税金などについて、意図的に「政治的戦場」を築いたりもしている。

トランプ政権の人々は、トランプ大統領のツイートや発言を、より厳格にフォローするようになった。韓国政府が金正恩氏による会談の提案を恥ずかしげもなくトランプ大統領に提示したように、彼のディールメーカーとしての人格を受け入れることを強要することも含まれる。たとえ政治的な制約や個人の嗜好が一致するとは限らなくても、敵味方どちらともトランプ大統領をおだてて物事を進めなければ何も進まないことを理解するようになったのだ。

トランプ大統領が企業経営者だった頃は、とても狭いグループの中で仕事をしていたと言われており、非常に不安定な敵対関係になることが多かった。大衆の注目を集められる場は、テレビ番組の「アプレンティス」で、その番組のコンセプトの中心となっていたのは「お前はクビだ」という決め台詞である。トランプ大統領は、この「お前はクビだ」モデルを昨年の初めに数カ月にわたって実施したが、成功しなかった。

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