「引っ越し難民」にならないために打つべき手 最悪のピークは、3月24日から4月8日だ

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同社のようなケースは例外だが、残念なことに、引っ越し難民の足元につけ込む悪徳事業者が出てくることも懸念される。「高かろう、悪かろう」だ。そのような悪徳事業者の被害に遭わずに、信頼できる引っ越し事業者を簡単に見分ける方法は、「引越安心マーク」のステッカーを貼っている事業者かどうかだ。正式には「引越事業者優良認定制度」といい、消費者庁や国土交通省も参画して創設され、全日本トラック協会が認定している。利用者が安心して頼める事業者を”見える化”した制度である。

ところで肝心なのは、これからでも引っ越し事業者を探せるか、ということである。

ネットでなく、あえて地元の運送屋さんも

いちばんいいのは、引っ越し予定日の分散化であり、これは企業などが人事異動をずらすのが望ましい。中には異動日を変えた企業もある。個人でも、可能ならば、ピークを避けたほうがいい。また、土日や祝祭日は早くから予約が入っているので、できれば平日のほうが事業者を確保できる可能性が高まる。値段も平日のほうが安くなるはずだ。

引っ越し事業者の予定がいっぱいで、荷物の輸送は無理だが、「どうしても自分だけは予定どおりに引っ越し先に行かなければならない」という人もいる。そのようなときには、トランクルームやレンタルコンテナの事業も行っている引っ越し事業者だと、荷物を一時預かりにして、トラックとドライバーの都合がつき次第、運んでもらうといったこともできる。実際に聞くと「今年はそのような需要が例年より増えている。自社の引っ越し客の荷物だけでなく、大手引っ越し事業者との契約で、一時的に預かっている家財も多い」という。

また、ネットの時代にあえて、リアル、つまり地元で探すというやり方もある。

全日本トラック協会の調べによると、事業者探しはウェブが中心で、比較サイトなどが47.3%で、事業者自身のホームページが24.9%となっている。テレビコマーシャルなどで知名度が高く、比較サイトや検索エンジンでも上位に入ってくる事業者の予約から先に埋まるのが実態だろう。逆に、ネットでホームページを検索してもなかなか出てこないような、小規模ながら引越安心マークを取得しているような「地元の運送屋さん」なら、まだ相談に応じてもらえる余地がある。そうした事業者の元へ、実際に足を運ぶのも一法だ。

森田 富士夫 物流ジャーナリスト

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もりた・ふじお / Fujio Morita

1949年生まれ。物流業界を専門に長年取材・執筆を行う。主な著書に『トラック運送企業の働き方改革〜人材と原資確保へのヒント〜』(白桃書房)。

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