北朝鮮が核ミサイル放棄?それはありえない 交渉では細部にこそ悪魔が潜んでいる

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オルブライト氏は、北朝鮮に対する4つの原則をその著書で記している。①検証可能な朝鮮半島の非核化をもたらさなくてならない、②北朝鮮との直接対話への意欲が必要。しかし、それは北朝鮮への報いではなく、核ミサイル拡散や戦争リスクの回避のために必要な1つの手段となるべき、③米国の同盟国と十分な連携をとって実行する、④緊急性を持って臨まなくてはいけない。

交渉では細部に悪魔が潜んでいる

3月10日のニューヨーク・タイムズの報道(電子版)によると、トランプ大統領は3月8日にホワイトハウスで、鄭義溶国家安保室長らから金正恩氏が米朝首脳会談を希望していると伝えられると、その場で快諾し、最初は4月開催を提案したという。しかし、鄭室長らが4月末の南北首脳会談後が望ましいと応え、結果として5月の米朝首脳会談開催の方向で話がまとまったという。

ハーバート・マクマスター大統領補佐官(写真:REUTERS/Yuri Gripas)

また、今回の米朝首脳会談の決定は、ハーバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)を中心に進められ、ジム・マティス国防長官とジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長は加わっていなかった。

昨年12月に北朝鮮との対話路線を打ち出し、トランプ大統領に叱責されたレックス・ティラーソン国務長官は政権幹部がホワイトハウスに勢ぞろいするなか、皮肉にもエチオピアに出張中で、欠席した。通常なら国務省で積み上げていく交渉事を、劇場型の政治ショーで支持率を得てきたトランプ大統領がトップダウンで実施、国務省は蚊帳の外に置かれてきた。

しかし、交渉ごとでは細部に悪魔が潜むと言われる。交渉の行程表や査察体制、核施設や核物質などの査察の対象、米朝首脳会談の開催場所など細部が決まらぬまま、トップ会談を即断で受諾したトランプ大統領。これまでの交渉破綻の歴史をみれば、ガラス細工とも言える米朝首脳会談への道筋や成果はいまだ見えていない。

高橋 浩祐 米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

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たかはし こうすけ / Kosuke Takahashi

米外交・安全保障専門オンライン誌『ディプロマット』東京特派員。英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』前特派員。1993年3月慶応義塾大学経済学部卒、2003年12月米国コロンビア大学大学院でジャーナリズム、国際関係公共政策の修士号取得。ハフィントンポスト日本版編集長や日経CNBCコメンテーターなどを歴任。朝日新聞社、ブルームバーグ・ニューズ、 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、ロイター通信で記者や編集者を務めた経験を持つ。

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