あのマッキンゼーが「関西」に拠点を開くワケ コンサルの「高級文房具」モデルと一線画す

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地域に需要があるとして、ではなぜ「今」なのか。そこにはマッキンゼーを取り巻く大きな変化がある。

かつてコンサルは独自に編み出したツールを使い、顧客企業の経営状況を分析したり、戦略の策定を支援したりすることで巨額の報酬を得てきた。

有名なところでいえば、ボストンコンサルティンググループ(ボスコン)が考案した「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」。市場成長率とマーケットシェアで「金のなる木」「問題児」など、事業を4分類する分析ツールだ。だがこうしたツールはいまや、一般向けの解説本が多数出るなど陳腐化。また企業の経営課題も複雑化しており、各ファームの看板コンサルタントであってもなかなか解を見出しにくくなっていた。

顧客と「汗をかく」スタイルが主流に

こういった中、近年のコンサルは知識そのものを売るよりも、それをある程度習得した人材を企業に提供することで報酬を得るようになってきた。経営企画室など企業の戦略構築部門にコンサルタントを常駐派遣し、顧客と一緒に「汗をかく」スタイルだ。

マッキンゼーの関西オフィス代表に就任した北條元宏パートナー(撮影:梅谷秀司)

コンサルタントは部門長クラスに寄り添って、トップマネジメントが納得するような資料を作成する。経営トップの参謀役だったかつてのあり方とは大きく異なり、労働集約性の強いサービスだ。業界では「高級文房具」とも揶揄される。

この高級文房具モデルが浸透する中で台頭したのが、ITシステムや会計・財務といった専門分野を持つコンサルファーム。専門性があるため、派遣されたその日から企業の日々の課題に役立つ。従来の3強(マッキンゼー、ボスコン、ベイン・カンパニー)に比べ総じてコンサルタントが多いため、大手企業から複数の案件を受注したり、非上場の中堅企業のような小粒案件をこまめに集めたりして拡大してきた。

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