あのマッキンゼーが「関西」に拠点を開くワケ コンサルの「高級文房具」モデルと一線画す
顧客企業にとっても、高級文房具なコンサルサービスのほうが「プロ1人いくら」という値付けがしやすい。価値が客観化しにくい経営戦略の知識よりも、コスト負担が明確で、納得感が得られやすいのだ。これが、コンサルの草分けだったマッキンゼーが日本で存在感を失ってきた大きな背景だ。
一方でグローバルに目を向けると、マッキンゼーは近年、いわゆる戦略コンサルタント以外の人材を拡充させていた。データサイエンティストや工業デザイナーといったプロフェショナルや、資材調達、マーケティング、生産といったサプライチェーンの各部門の経験者を積極的に取り込んできたのだ。
軍師から軍隊型へシフト
北條氏は「かつてのマッキンゼーはいわば諸葛孔明モデル。優れた戦略家がいることが重要だった。だが、課題が複雑化した現代では、戦略家だけでは対応しきれない。だから『賢いコンサルタントが何でも解きます』ではなく、産業ごと・機能ごとに世界指折りの専門家を集め、ベストプラクティスを提供するように変わった」と説明する。いわば、軍師型から軍隊型へのシフトだ。
マッキンゼーが大阪に新設する拠点は、会計やITを強みとする競合に比べると、圧倒的に小規模だ。だが実際に企業に対し提供する知見は、こういったグローバル・プロが集中的に有している。地域に常駐するコンサルタントは、顧客企業の戦略に合わせ、グローバルの知見をローカライズして提供する役割を担う。
北條氏は、「高級文房具のモデルは確かにおカネをもらいやすい。だがそのコンサルに関して、企業は部長レベルが管理するコストと理解しがち。経営そのものの変革には繋がらない。マッキンゼーが提供するコンサルはあくまで、トップマネジメントが自ら決断を下し、不確実な未来をひらくための戦略投資だ」と強調する。関西で、名門コンサル会社の逆襲はなるか。
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